原油価格と米ドルの相場が相関関係に、法則を覆したのは誰か?

原油価格と米ドルの相場が相関関係に、法則を覆したのは誰か?。

タグ:原油価格 米ドルの相場

発信時間:2018-07-02 16:47:47 | チャイナネット | 編集者にメールを送る


 通常であれば、国際原油価格と米ドルの相場は逆相関の関係にある。ところが今年4月以降、原油価格は米ドルの相場と共に上がっている。上半期の最後の営業日となった6月29日同日、WTI原油先物価格は最高で1バレルあたり74.46ドルをつけ、年内の最高記録を塗り替えた。ブレント原油先物価格も1バレルあたり79.56ドルをつけ、先ほどの段階的な最高値に迫った。その前日の営業日、米ドル指数は今年最高の95.531に達した。両者の異常な相関関係が示されている。


 過去を振り返ると、米国は世界最大の原油消費国及び純輸入国であり、価格高騰は国内経済に衝撃をもたらしドル安を誘導するが、今回の状況はやや異なっている。


 宝城先物研究所の程小勇所長は、原油価格の上昇の法則を見ると、4つの面からドル相場を上昇させると指摘した。まず、原油価格高騰は生産資料及び生活のコストを全面的に高め、物価上昇率を高める。物価上昇は名目貨幣の需要、国内の信用貸付の需要を拡大し、多くの外資が米国に流入する。国外資本の流入は、ドル相場を上げる。さらに、米国国内の金融政策は往々にしてドル高を強める。連邦準備制度理事会(FRB)は石油価格上昇の初期に利上げなどの引き締めにより、物価上昇を抑えることが多い。利上げは多くの海外資本を流入させ、ドルの名目為替レートを引き上げる。


 次に、原油の高騰により石油輸出国が貿易黒字になり、ドルを中心とする外貨準備高が増え、いわゆる「ペトロダラー」を生む。これらのペトロダラーは利益を求め国際金融市場に入り、ドル建て資産を大量購入するため、ドルの名目為替レートが上昇する。


 それから、持続的な原油高により石油輸入国の国際収支に不確実性が備わる。そのためこれらの国は外貨準備高に占めるドル建て資産の比率を高めることでレートの安定を維持する。こうしてドルの需要がさらに拡大し、ドルの名目為替レートが上昇する。


 他にも2015年より、米国のシェールガス産出量が急増しており、米国は原油純輸入国から輸出国に転じた。そのため原油高はまだ米国経済に衰退の圧力をもたらしておらず、むしろ米国の石油化学業界の収益改善、米国経済の回復を促進した。ドル相場がさらに強化された。


 広発先物首席原油研究員の姚曦氏は、次のように分析した。国際原油価格と米ドル指数は短期的に高い相関関係を維持する。原油市場を見ると、OPECの減産合意により原油価格が高位で推移する。サウジとロシアは6月に1日あたり100万バレルの増産を決定したが、ベネズエラの過去1−2年間の国内経済危機による生産量の激減を相殺するに留まる。また米国が他国に対してイランからの原油輸入の禁止を求めており、世界原油市場の供給源の懸念を深め、原油価格を続騰させている。FRBの利上げが終わっておらず、為替レートの高騰を促している。米国経済の好調と欧州経済の疲弊が重なり、ドル高を強く支えている。他にも世界貿易摩擦が短期間内に解決されることはなく、貿易紛争が国際資本のリスク回避を促す。資金はハイリスクな国からローリスクな国に移り、資本の回流もドル高を促すことになる。


 新紀元先物エネルギー・化学工業研究員の張偉偉氏は「米国が強く欧州が弱いという経済構造に転機が訪れておらず、米国の経済データが第2四半期に加速する可能性が高い。ドル相場は高騰を維持し、年内に記録更新する可能性も否定できない。しかし税制改革の効果が弱まり、米国経済は周期的なピークに近づいている。欧州中央銀行は年内に量的緩和を終了し、米ドル指数は下半期にピークに達し低下するだろう」と予想した。


 原油については、世界原油市場リバランスを背景とし、下半期に原油価格が大幅に変動するが、地政学的リスクが短期的な変動を激化させる可能性もある。WTI原油先物価格は1バレルあたり60−80ドルの間で、ブレント原油先物価格は70−85ドルの間で変動する見通しだ。



「中国網日本語版(チャイナネット)」2018年7月2日


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