米国のオートバイメーカー「ハーレーダビッドソン」は最近、ヨーロッパ向けの生産を海外に移すと発表し、自動車メーカー・ゼネラルモーターズ(GM)は、追加関税により、国内事業規模の縮小を強いられ、雇用減少にもつながると警告した。EU(欧州連合)、カナダ、メキシコ、インド、トルコなどが米国商品に対する報復関税を発動するなど、トランプ政権の保護主義的な貿易政策により、米国企業や消費者がその一番の「被害者」となり、製造業を国内に回帰させ、雇用を増やすというその目標からは大きく遠ざかっている。経済や産業チェーンがグローバル化している21世紀に、関税を引き上げたりして他の国を脅迫する保護主義的なやり方は時代遅れで、人に損失を与えても自分の利には全くならず、通用する方法ではない。新華社が報じた。
まず、輸入商品に対する関税を引き上げると、米国国内の産業を保護するどころか、身近な商品が値上がりし、米国企業や消費者がその「被害者」となる。米国商工会議所などの業界の組織は米国政府に対して、関税を引き上げると、米国企業や消費者から「税金を徴収」することになり、それにより世界のサプライチェーンが混乱し、原材料や部品を輸入に頼っている米国企業の生産コストが上がり、米国の製造や輸出関連の事業者の競争力が落ちると何度も警告してきた。サラリーマンを含む米国の消費者も、高騰した輸入商品を買わざるを得なくなり、生活費が上がり、米国国内でインフレが進む可能性さえある。
実際には、関税をめぐる一方的な措置が成功したことは、米国史上一度もなく、就職が落ち込むなどの不利な結果を招くだけだ。2002年、ジョージ・W・ブッシュ政権が輸入する鉄鋼製品の関税を引き上げたことで、米国の雇用は約20万人失われ、40億ドルの賃金が失われた。また、09年、オバマ政権が中国から輸入するタイヤの関税を引き上げた際は、米国の雇用約2500人が失われ、米国の消費者の支出が11億ドル増えた。
また、米国が関税引き上げ措置に対して、主要貿易パートナーも報復措置で応じており、米国企業、農家、消費者の損失はさらに増えると見られている。米国全国対外貿易評議会の統計によると、現在、米国の主要貿易パートナーの米国製製品に対する追加関税は総額約900億ドル規模になりそうだ。このような報復措置により、米国の輸出業者はさらに損失を被り、米国の数百万人の雇用が脅かされ、米国経済全体に悪影響を及ぼす。