EUの米国製バイクに対する報復追加関税を逃れようと、米国の製造業において代表的な存在の「ハーレーダビッドソン」が最近、一部の生産を海外に移すと発表した。ピーターソン国際経済研究所のシニアフェローのチャド・ブラウン氏は、「欧州企業と比べると、ハーレーダビッドソンのような米国企業は▽米国の鉄鋼・アルミニウム製品に対する関税引き上げ措置による生産コストの高騰▽貿易パートナーの対米報復関税措置による重い負担▽欧州企業はEUが日本などと合意に至った新自由貿易協定(FTA)から関税の面でさらなる恩恵を受ける---という、トリプルパンチに直面している。そのため、多くの米国企業はハーレーダビッドソンを模範にして、一部の工場を海外に移すだろう。これはめちゃくちゃな貿易政策の代価だ」と指摘している。
米国政府が「国家安全保障上の脅威」という理由を乱用し、一方的に関税を引き上げたことで、EUや中国、インド、カナダ、ロシア、メキシコ、ノルウェーなどは世界貿易機関(WTO)に提訴したほか、米国国会の反対、国内訴訟などにも直面している。米国連邦議会上院外交委員会のボブ・コーカー委員長を代表とする米国国会議員は最近、安全保障上の懸念を理由に関税を課すことができる大統領権限を制限する法案を提出し、270以上の商業組織から支持を得た。また、トランプ政権が鉄鋼輸入に課した25%の関税を不服とし、業界団体である米国国際鉄鋼協会(AIIS)などは最近、関税措置の違憲認定とその差し止め命令を求めて米連邦国際貿易裁判所に政権を相手取り提訴した。
経済や産業のサプライチェーンがグローバル化しているのを背景に、関税を引き上げて国内産業を守り就職を増やすというやり方は、独りよがりな考えに過ぎない。米シンクタンク「戦略国際問題研究所」(CSIS)の専門家であるウィリアム・ラインシュ氏が述べるように、現在の国際貿易は「ウィンウィン」の協力スタイルで成り立っており、ノンゼロサム・ゲームだ。米国の現行の貿易政策は17、18世紀の重商主義のようで、経済がグローバル化している21世紀には合わない。米国の消費者や労働者、製造業を助ける一番良い方法は、新しい市場を開拓し、関税や貿易障壁を引き下げることであって、自国の市場の敷居や障壁を高くすることではない。(編集KN)
「人民網日本語版」2018年7月3日