世界経済の「衰退の罠」、米国に引きずり込む権利はない

世界経済の「衰退の罠」、米国に引きずり込む権利はない。

タグ:世界経済 衰退の罠 米国

発信時間:2018-07-13 15:23:10 | チャイナネット | 編集者にメールを送る


 世界経済の歴史を見ると、10年とは決して長い期間ではない。米ウォール・ストリートで起きた国際金融危機で世界経済が揺れるなか、「信頼は黄金よりも重要」という呼び声の中に、どれほど多くの焦燥と不安がこもっていたかを覚えている人も多いだろう。「人民日報」が伝えた。


 10年後の今日、世界経済回復の勢いは期待されていたほど力強くはなく、信頼の極端なほどの重要性も弱まっていない。ところが国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事が「世界経済を覆う影がさらに濃くなっている。最も大きく最も重い影は、信頼の悪化だ」と発言した状況になっている。世界経済発展の今後への信頼を損ねる原因とは何だろうか。各国の新聞をめくり、米国と貿易相手国の貿易戦争を懸念する記事を読めば、その答えはこれ以上ないほど明らかになるだろう。


 国際貿易は世界経済成長の重要な一環だ。米国は世界貿易機関(WTO)ルールに公然と背き、広範な貿易戦争を引き起こしたが、世界の貿易秩序を破壊し、世界経済成長を妨げることは間違いない。世界銀行は先月上旬に発表した報告書の中で、世界の関税が上昇することで世界貿易に重大な悪影響が生じ、新興国と発展途上国(とりわけ米国と貿易もしくは金融市場の関連度の高い国)への影響が特に深刻だとした。権威筋は、関税がGATT/WTO体制前の水準に戻れば、世界経済は直ちに2.5%縮小し、世界の貿易量が6割以上も減少し、2008年の国際金融危機を上回る悪影響が生じると予想した。


 米国が発動した貿易戦争は世界のバリューチェーンへの衝撃を形成し、かつ各国の経済・貿易間の相互関連を通じ広範なスピルオーバー効果を生み、世界経済の効果的な運行に影響を及ぼす。IMFは今年4月、関税と非関税障壁の増加は世界のバリューチェーンを破壊し、新技術の拡散を妨げ、世界の生産効率を下げ投資を縮小すると警告していた。米国が貿易戦争をエスカレートさせるに伴い、世界市場の信頼が強い衝撃を受ける。株価と為替が急激に変動し、各国のビジネス信頼指数が低下する。


 貿易戦争は常に諸刃の剣であり、米国はその理性を失った一方的な保護主義による大きな犠牲を避けられない。中国は国の核心的利益と国民の根本的な利益を守るため、米国による追加関税に力強く反撃している。それに先駆けEUは6月22日に、総額28億ユーロの米国製品に追加関税を発動した。カナダは今月1日、総額126億ドルの米国製品に報復関税を導入した。全米納税者連盟、全米商工会議所、多くの識者が、ホワイトハウスが発動した貿易戦争は米国人にとって「雇用殺し」であり、米国製品の競争力と多くの国民の利益を損ねると批判している。


 米国は世界一の先進国であり、圧倒的多数の米国人が衣食に困らない生活を送っている。世界経済をかき乱せば、米国人の日常生活にも自ずと影響が及ぶが、基本的な生活が問題になることはない。ホワイトハウスの当局者は勝手気ままに貿易戦争を発動する際に、これが発展途上国の貧民にとって何を意味するかを考えているだろうか。WTOのアゼベド事務局長は、貿易戦争は誰にとっても害であるが、貧困層は購買力の63%を失うと明言した。


 道義的にも国際ルール的にも、米国に世界経済を「衰退の罠」に引きずり込む権利はない。


 米国は「国際的な責任」や「国際公共財」をいつも口にしていたではないか。経済グローバル化が進む今日、各国の利益は深く交わり合っている。良好な国際協力環境の醸成、世界経済回復の流れの強化、人々の発展の将来性への信頼の保障は、どの国にとっても不可欠な国際的な責任だ。米国がどのような理論を作り出し言い逃れをしようとも、WTOルールに違反する貿易戦争が壊滅的な「国際公共財」ではないと信じる人はいないだろう。米国は世界一の経済国であり、その規模とドルの地位により、世界経済に必然的に大きな影響を及ぼすことが決まっている。これは米国への過度な要求ではなく、米国の逃れられない責任だ。大国ならば大国らしくしろという、非常に分かりやすい道理だ。


 地球村は未開の原始的集落ではなく、貿易上のいじめが村の決まりごとになることは永遠にない。地球村の物事はある世帯だけが決めることではなく、決められることでもない。



「中国網日本語版(チャイナネット)」2018年7月13日

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