日本の介護ロボットの研究は絶えず進歩しているとはいえ、藤田保健衛生大学ロボティックスマートホーム・活動支援機器研究実証センターの田辺茂雄准教授によれば、「現在の介護ロボットの研究開発では解決すべき課題や難点がまだたくさんある。高齢者の活動や支持への対応には限界があり、導入する場所にはいろいろな制約がある。たとえばトヨタと協力して開発したロボティクススマートホームは少なくとも75平方メートルの空間が必要で、レール設置のため天井は一般的な住宅よりも高さが求められる」という。
「日本経済新聞」の元編集委員で経済問題専門家の山形健司さんは、「介護という仕事の性質を考えると、介護ロボットの研究開発と応用には大きな困難が横たわるといえる。介護される側のニーズは千差万別で、1台のロボットでさまざまなニーズに応えるのは非常に困難だ」と話す。
介護施設の運営で10数年のキャリアがあり、現在は関西地方で老人ホーム40~50ヶ所を経営する日本企業の上層部が話したところによると、「高齢者と患者に対する介護サービスは一般客が利用するホテルのサービスとはまったく性質を異にするものだ。介護される側が満足し、理想とするサービスを提供することは難しい。その最も重要な原因は介護者のレベル向上が難しいことで、ホテルのように厳しい研修を経ればサービスが身につくというものではない。被介護者一人一人の状況はすべて異なり、一口に腰痛といっても、状況はそれぞれ違う。そこで、やはり人の手を借りる方が早いということになる」と話す。