サービス貿易においても、米国は著しい優位性を持ち、一段と高い収益を上げることができた。米国は中国にとってサービス貿易赤字の最大の発生源となっている上、赤字額は急速に拡大している。米国側の統計によると、2007年~2017年において米国の中国向けサービス輸出額は131.4億ドルから576.3億ドルと3.4倍拡大した。同じ時期の米国のその他の国・地域向け輸出額が1.8倍だったのに比べ、大幅な拡大となった。2017年の米国の中国向けサービス貿易黒字は402億ドルと30倍も拡大した。
このように両国の投資分野において、米国が得るところも非常に多いといえる。一方、中国の対米投資は主に製造業に集中しており、米国に多くの雇用を生み出してきた。米中ビジネス協議会(USCBC)の試算によると、2015年の中国の対米投資は米国46の州に分散し、米国内で14万人分以上もの雇用を創出してきた。また、米国の在中国投資企業は莫大な収益を上げてきた。米商務省経済分析局(BEA)の統計によると、2015年の米国系企業の売上高は4814億ドルと、中国系企業の米国での売上高256億ドルを遥かに上回り、米国系企業によるグローバル経営の優位性が一段と際立った。
ドイツ銀行が2018年6月に発表した報告書によると、米国は実際に中国との二国間貿易において中国よりも格段に多くの利益を上げたという。それぞれの輸出額から他国企業の子会社の寄与分などを差し引くと、2017年に米国が得た純利益は203億ドルに上った。こうしたことから「米国が損をしている」とする見方は事実と大きく乖離しているといえよう。