国際通貨基金(IMF)の2018年の「世界と中国経済展望レポート」の発表会が10月18日、中国の北京で開催された。IMF調査部エコノミストの練唯誠氏は、「中所得国の罠」に同調性がなく、中国が構造改革深化を通じて回避することができるとの見解を示した。
練唯誠氏は、「グローバル金融条件正常化を背景とする新興国の金融政策」と題する講演で、今世紀初めの10年間を振り返り、新興国のインフレが比較的低水準で安定しているとの見方を示した。インフレ要因について、インフレ期待がインフレ水準に決定的な影響を及ぼし、また外部要因よりも国内要因のインフレ進行に対する影響が大きいと説明。外部ショックに対応するための経済の安定性がインフレ期待のアンカリング度に応じて決まり、アンカリング度が高くなれば、反サイクルの動きが大きくなって、為替レートの変動による影響を受けにくくなり、インフレの持続性後退と金融政策の余地をもたらすと話した。
IMI学術委員、中国人民大学財政金融学院副院長の趙錫軍氏は、2018年10月の「世界経済展望レポート」で、金融政策と財政政策の両輪を進めることが、世界経済回復の主要な駆動力になるが、刺激政策には持続性がないと指摘した。デジタル化の発展が中国経済の再建効率を高めているが、どのようにデジタル化の効果を最大限に高め、同時に労働力需要の急減やプライバシーの侵害、新たな寡占、金融のリスクを下げるかが新たな試練になると分析。中国の全面的な改革深化や、IMFなど国際機関の持続的な努力と後押しに伴い、国際社会の政策協調とリスクへの共同対応力が高まっていくとの見方を示している。