日本経済新聞(電子版)は先般、多部田俊輔記者による署名記事を掲載した。要旨は下記の通り。
工場の中を動き回る黄色と赤色の制服姿の多さに驚かされる。制服には「DHL」の文字があるが、ここはドイツポスト傘下の国際物流大手DHLの拠点ではない。ここは米ゼネラル・モーターズ(GM)などが出資する、中国南部・広西チワン族自治区にある合弁会社、上汽GM五菱汽車の主力工場だ。
情報によると、青色の制服に身を包んだ五菱の従業員とDHLの従業員の比率は4対1。DHL側の役割は、五菱の組み立て作業員に必要な部品を時間通りに渡すことだ。複数の車種を組み立てる生産ラインで部品の取り付けミスを減らし、部品在庫の圧縮をもたらすという。
これは車両製造コストを左右する重要な部分を、外部に委託しているようにも映る。自動車業界に詳しいアナリストは、「自動車メーカーは自動運転や電気自動車(EV)などの新技術に専念せざるをえず、工場の優先順位が低くなったのかもしれない」との観点を示した。