注目を集めているサミットは、世界の貿易摩擦を和らげるだろうか。主要20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)が本日、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで開幕する。世界はアルゼンチンタンゴが対立を和らげ、経済発展に動力を注ぎ込むことを切に願っている。ところがサミット開幕前、米国の新たな関税の脅威が暗い影を落とした。米国は自動車への関税上乗せを検討しているというのだ。
AFP通信によると、ゼネラル・モーターズ(GM)が人員削減を発表した衝撃を受け、トランプ米大統領は28日、自動車への関税上乗せにより米国の自動車産業を保護する可能性を示唆した。トランプ氏はツイッターで立て続けに投稿し、米国の小型トラックが好評を博しているのは、長年に渡り米国に輸出される小型トラックに25%の関税が適用されているからだと投稿した。この25%を輸入セダンに適用すれば、より多くの自動車が米国本土での生産を選択する。GMもオハイオ州、ミシガン州、メリーランド州の工場を閉鎖することはなくなるというのだ。
フィナンシャル・タイムズによると、トランプ氏のこの投稿はドイツや日本に警鐘を鳴らす可能性がある。両国は米国に多くの自動車及び部品を輸出しており、関税上乗せにより最大の影響を受ける。トランプ氏はG20サミットで日本の安倍晋三首相、ドイツのメルケル首相と二国間会談を開く見通しだ。
AFP通信によると、欧州委員会のマルムストローム委員(通商担当)は28日、「米国がEUの自動車に関税を上乗せすることを想定し、EUは報復リストを作成済みだ」と発言した。ドイチェ・ヴェレによると、メルケル氏を含む各国首脳はブエノスアイレスで、公平で自由な世界貿易環境の促進に取り組むことを宣言する。現状を見ると、今回のG20サミットは依然として「トランプ氏の孤立無援」の局面となる。しかしトランプ氏はこれをそれほど気にしないだろう。「米国ファースト」こそが最も重要だからだ。
「世界経済は重要な節目を迎えている」国際通貨基金(IMF)は28日、貿易摩擦に警告を発した。IMFのラガルド専務理事は、貿易の緊張情勢のエスカレートの世界経済成長への影響は、1カ月前に想定されていたものよりも深刻になる可能性があると表明した。IMFはG20サミット前に発表した報告書の中で、米国がカナダやメキシコ以外の国に自動車関税を上乗せし、貿易相手国から報復を受けた場合、世界の投資が縮小すると予想した。短期的に世界のGDPは0.75%減少する可能性があるという。
「雇用が失われ、成長が減速し、作物が腐るー貿易戦争はこうして米国を損ねている」ビジネスインサイダーは28日、貿易戦争は表面上、米国の利益を保護するためのものだが、米国が最悪の影響を受ける可能性があると伝えた。貿易戦争は今後数年に渡り、米国の経済成長率を1ポイント引き下げるという見方もある。企業と産業全体はすでに関税のプレッシャーを感じており、米国企業のコストが拡大している。米国の10月の製造業景況指数は半年ぶりの低水準になった。トランプ氏が保護すると述べていた産業(米国の農家など)が損失を被っている。米国の最も代表的なブランドの一つであるGMは、1万4000人の人員削減を進めている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2018年11月30日