中関村国家自主イノベーションモデル区展示センターに出展されたスタートアップ企業、寒武紀科技(カンブリコン)のAIチップ(新華社記者鞠煥宗撮影)。
足元で世界経済の先行き不透明感が高まり、世界経済の成長スピードが鈍化するなか、様々な産業の構造改革や構造調整が加速している。こうしたなか、注目すべきは中国ソフトウェア産業の拡大基調が続いている点だ。
中国工業情報化部(工信部)が発表した最新統計によると、2018年1-10月の中国ソフトウェア・情報技術サービス産業のソフトウェア事業収入は完成ベースで5兆507億元と前年の同じ時期に比べ15.1%増加。月ごとに伸び率が拡大し、堅い成長基調が確認された。
「ソフトウェア・情報技術サービス産業は国民経済全体に比べ成長著しい産業だ」――工信部傘下のシンクタンク、賽迪研究員軟件産業研究所の潘文所長はこう述べ、デジタル経済に代表されるニューエコノミーが経済発展を促す新成長エンジンとなっていると指摘。中国国民経済の各分野のソフトウェア・情報技術サービス産業に対する需要は高まっており、ソフトウェア産業の発展の原動力は強まっていると述べた。
クラウド・コンピューティング、ビッグデータ、モバイル・ネットワーク、モノのインターネット(IoT)などの急速な発展と融合・イノベーションによる恩恵を受け、先進的計算システム、先端メモリ、人工知能(AI)、バーチャルリアリティ(VR)などの新技術の進展が加速。ソフトウェア・情報技術サービス産業市場における需要が高まり、新技術、新製品、新ビジネスモデル、新業態が年々成熟し、産業の力強い成長を後押して、質と効率の向上を加速させた。
足元では、企業を主体とし、コア技術を柱に据え、応用に重点を置いたソフトウェア技術イノベーションシステムの整備が進められており、技術イノベーションはソフトウェア産業の発展において、その主導的な価値がより顕著になっている。ソフトウェア開発に必要な能力は、企業が市場競争における優位性を獲得する上で重要な要素となりつつある。
近年、中国のソフトウェア・情報技術サービス産業では研究開発投資が増え続け、イノベーション創出の取り組みが大きく進展している。クラウドサービス、ビッグデータ、人工知能、ブロックチェーンなど新興業態が成長のけん引役となっている。
工信部が先ごろ発表した『中国ソフトウェア・情報技術サービス産業総合発展指数報告』によると、2017年の同産業向け研究開発費は5622億元に上った。ソフトウェア事業収入に占める割合は10.2%と、前年を0.8ポイント上回った。イノベーション創出の点でみると、2017年の全国のソフトウェア著作権登録件数は完成ベースで74.5万件と前年比で82.8%もの大幅増となった。
同時に、中国のロボット強化学習技術、顔認証技術が大きく進展、この2つは米マサチューセッツ工科大学(MIT)が刊行する科学技術誌「MITテクノロジーレビュー」の「2017年版ブレイクスルー・テクノロジー10」にもランクインした。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2018年12月3日