アジア開発銀行(ADB)は12日、『2018年アジア発展展望』更新版の補足報告を発表した。報告は、高い内需により、2018年と19年のアジア太平洋地域の経済成長は世界の貿易緊迫情勢などの圧力に応対でき、安定を実現するとした。
アジア経済は全体的に安定して成長
ADBの報告は、アジア太平洋地域の発展途上経済圏の2018年の成長率を6.0%、19年の成長率を5.8%と予想。この数値は9月に発表した『2018年アジア発展展望』更新版と一致している。
中国、韓国、シンガポールなどのアジア太平洋地域の新興経済圏を除くと、アジア太平洋地域の発展途上経済圏の2018年成長率は6.5%、19年は6.3%になる予想。
ADBのチーフエコノミストの澤田康幸氏は報告の中で、「アジア太平洋地域の一部の大型経済圏が安定した成長を続けているため、同地域の全体の経済成長率予想を大幅に調整しなかった」とした。
また、未解決の貿易摩擦は地域経済が直面する下降リスク要因だと示した。
報告は、中国とインドはアジア太平洋地域の経済成長のけん引力だとし、中国の2018年と19年の経済成長率を6.6%と6.3%、インドの成長率を7.3%と7.6%と予想。
ADBは、中央アジアの2019年経済成長率を9月の4.2%から4.3%に上方修正したが、東南アジアと南アジアについてはそれぞれ5.1%と7.1%に下方修正した。
また報告は、国際大口商品価格の下落と地域内の各経済圏の中央銀行による安定した金融政策の実施により、アジア太平洋地域のインフレ圧力はやや緩和されると示し、アジア太平洋地域の発展途上経済圏の2018年のインフレ率を2.6%、2019年を2.7%と予想した。9月の報告ではいずれも2.8%と予想していた。
『アジア発展展望』はADBの年度経済報告で、アジア太平洋地域の経済成長を予想し、毎年春に発表、秋に更新する。12月に発表する報告は、ADBが年末に同地域の経済情勢を判断した後、更新版に補足したもの。
野村證券アジアエリア(日本除く)株式研究部門責任者のマイク・カフェディ氏は、2019年のアジア経済は初めは低く後で上昇し、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ後、第2四半期に大幅に上昇すると予想した。