世界貿易機関(WTO)はトランプ米大統領が中国製品2500億ドル相当を対象に課す関税について調査に入る構えだ。本部をスイス・ジュネーブに置く貿易紛争仲裁機関が28日に調査を開始し、加盟国間で同等の関税を導入するというWTOの規定に米国の関税が違反するかを判断する。米ブルームバーグが27日に伝えた。
かつてWTO上級委員会の会長を務めたジェームズ・バッカス元米下院議員は27日、「中国との貿易戦争における米国のやり方について、国際的な法律上の中心的な問題を扱っているため、今回のケースは特に意義深い。このやり方とは、米国がWTO内の紛争解決を検討せず、中国のWTOルールに違反するという行為に対して貿易制限を行っていることだ。米国の関税はWTOに基づいた責務と整合しないと私は判断するが、それを決めるのは現在のWTO上級委員会だ」と述べた。
中国がWTOに調査を求めたのは今回が2回目だ。中国は先月にも申請していたが、米国によって否決された。WTOルールは加盟国に2回目の紛争調査の阻止を禁じていることから、今回の調査は推進される可能性がある。しかし中国は問題が直ちに解消されることに期待していない。現在まで米国を対象とする調査が23回行われている。EUは米国のアルミ・鉄鋼製品に対する輸入関税について調査を申請した。
WTO上級委員会は7人の委員で構成される。米国の否決により、現在は3人のみとなっている。うち2人の任期は今年12月で満了する。それまでWTO加盟国が委員の任命で合意に至らなければ、同委員会は「閉鎖」の危機に直面する。米国が同委員会の新委員の任命手続きを妨害していることから、WTOは存続の危機に立たされている。WTOに改革を迫るため、トランプ氏のチームは同委員会の新委員の任命を否決した。これにより委員に空席が生まれ、貿易紛争に強制的な裁決を下せなくなった。この状況は今年の年末まで続く。WTOが行った上述した調査は、さらに米国側の反発を強める可能性がある。米政府はWTOを越権と考えているからだ。
WTOのアゼベド事務局長は24日、ダボス会議のチーム別会議において、「これらの貿易摩擦は貿易体制の脅威となり、かつ国際社会全体の脅威となる。リスクが非常に真実味を帯びており、経済的にも影響を生む可能性がある」と述べた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2019年1月28日