日本の製造業の国内回帰が一段と進む。資生堂は最大500億円を投じ九州に新工場を建設する。ライオンも国内で52年ぶりとなる歯磨き粉工場を設ける。2018年に3000万人を超えた訪日観光客は帰国後も「日本製」を求める傾向が強い。中国からネット経由で購入された日本製品は対中輸出額の1割に相当するとの試算もある。生産拠点から消費拠点に変貌するアジアの需要が投資の国内回帰を後押ししている。参考消息網が12日、10日付日本経済新聞の記事を引用し伝えた。
資生堂は2021年に福岡県久留米市に新工場を稼働する。年産能力は約1億4000万個で、中高価格帯のスキンケア「エリクシール」を生産する。資生堂は現在、大阪府と栃木県でも新工場を建設中で、世界の生産能力は倍増する見通しだ。
資生堂は福岡の工場をアジアへの輸出拠点に育てると同時に、品不足が慢性化する国内への供給力も高める。「IoT」(モノのインターネット)など最先端の生産技術を導入して生産性を高め、国内の賃金水準でも国際競争力を維持できると判断している。
日用品大手の間では生産拠点を国内に戻す動きが相次いでいる。ユニ・チャームは2019年に福岡県で国内で26年ぶりとなる新工場を稼働する。中国などで人気の紙おむつなどを生産する。ライオンも2021年に国内52年ぶりとなる歯磨き粉の工場を香川県で稼働する予定だ。
これまで日本の製造業が海外で販売するには、現地に工場や販売網を築く必要があった。ネット通販や越境EC(電子商取引)の普及で、現地に資産を持たなくても販売できる環境整備が進んでいる。