今年の中国の金融分野は、より高度な対外開放を実現する見通しだ。このほど開かれた「両会」で発信されたシグナルから見ると、金融業・債券市場関連だけでなく、多くの開放政策が実施される見通しだ。一部の金融開放政策が粤港澳大湾区などの重点エリアで先行して試行され、金融の更なる対外開放に向け水平展開可能な発展の道筋を模索することになる。注目すべきは、短期間のうちに資本の流入が加速する兆しが見られるため、金融の開放推進と同時に、それがもたらすクロスボーダー資金の流動性リスクを防止することが極めて重要となることだ。
今年の政府活動報告では、「市場参入規制を一段と緩和し、外資参入のネガティブリストを縮小、より多くの分野で外資単独出資での経営を認める。金融などの産業で改革開放措置を実施し、債券市場の開放政策を整備する」と提起された。
業界関係者は、2019年の「開放拡大」は金融分野で引き続き今年のキーワードになる見通しと指摘する。中国人民大学重陽金融研究院の董希淼・副院長は「経済参考報」の取材に対して、「昨年より打ち出された一連の予想を上回る金融開放政策は、国際社会に向けて強烈な開放のシグナルを発信した。対外開放の加速に伴い、中国金融業は現代化経済体系の建設と全面的な開放の新たな枠組み形成の主力となり、金融業を全面的な開放の新時代へとリードする」と述べた。
過去1年で多くの金融開放政策が順次実施された。昨年4月より、中国人民銀行(中央銀行)・中国銀行保険監督管理委員会(銀保監会)・中国証券監督管理委員会(証監会)は相次いで外資系銀行・保険・証券・ファンド・先物など多くの金融業の市場参入規制緩和と業務範囲拡大に関する10数項目の政策通知を発表した。これと同時に、金融市場の開放ペースも加速。債券市場では、海外投資家の中国市場におけるパンダ債発行や中国の債券投資・取引の利便性を高めるため、人民銀が投資ルート・税収・会計制度・為替・リスクヘッジなど各種政策を整備した。ブルームバーグは1月31日、2019年4月より中国人民元建て国債と政策銀行債をブルームバーグ・バークレイズ・グローバル総合インデックスに採用すると正式に発表した。
開放が全面的に加速するなか、一部の金融開放政策が重点エリアで先行して試験導入される見通しだ。先ごろ発表された「粤港澳大湾区発展計画綱要」は、金融市場の相互接続を推進すると提起した。中国人民銀行金融安定局の王景武局長は、「人民銀は『綱要』の具体的措置の実施に向けて、すでに各部門から意見を募集し、共同文書の署名を完了しており、近く発表される見通しだ」と語った。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2019年3月23日