経済 > エネルギーの対外依存度、高ければ危険か？
エネルギーの対外依存度、高ければ危険か？。「エネルギー発展第13次五カ年計画」は、2020年までに中国のエネルギー自給率を80％以上にする目標を掲げた。昨年のエネルギー見掛消費量に基づき計算するならば、一次エネルギー全体の自給率は80％弱に達している…
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「エネルギー発展第13次五カ年計画」は、2020年までに中国のエネルギー自給率を80％以上にする目標を掲げた。昨年のエネルギー見掛消費量に基づき計算するならば、一次エネルギー全体の自給率は80％弱に達している。現在の発展状況を見ると、2020年の中国のエネルギー自給率は80％を下回る見通しだ。当然ながらEU、日本、韓国などの経済体と比べると依然として高い水準であり、総量的に見るとエネルギー安全はコントロール可能だ。
しかし中国のエネルギー安全の弱点は主に構造問題にある。エネルギー安全のリスクは主に、石油と天然ガスに見られる。
エネルギーの対外依存度が高いからと言って、エネルギー供給が危険であることにはならない。一国のエネルギー安全は、その国のすべてのエネルギーの自給自足を求めるものではない。エネルギー安全は、国がエネルギー対外依存をコントロールできるかの方が重要になる。すなわちマクロ経済、社会の安定、外交政策が、エネルギーの対外依存によって左右されてはならない。また対外依存度が高いエネルギー品種について、その需要の柔軟性が高い、もしくはその他のエネルギー品種によって代替されやすい場合も、単一品種に対する対外依存度が高いことによる悪影響をコントロールできる。
近年の努力により、中国の石油輸入先は多元化に向かっている。現在の石油輸入のうち、中東が占める割合は34.9％に低下している。ロシア、中南米、西アフリカ、北アフリカが主な輸入先になっている。しかしロシアなど少数の陸上で隣り合っている国を除くと、大半の石油輸入が海上輸送によって行われている。石油輸入の70％以上がマラッカ海峡を通過する必要がある。石油輸送の安全リスクが大きい。また中国の石油輸入にかかるコストは毎年1000億ドル以上で、ある地域の石油供給に問題が生じた場合、石油価格の高騰により中国経済が大きな圧力を受ける。需要側を見ると、中国の石油消費の約70％が交通の需要となっている。同時に既存の石油化学技術路線も、その他のエネルギーへの投資による急速な代替を実現し難い。そのため短期的には石油の代替品を見つけることが非常に困難だ。
中国の天然ガスの対外依存度は昨年45.3％に達した。うち40％は中央アジア、25％は豪州で、輸入先が比較的安定している。また中露東線天然ガスパイプラインは、年末のガス供給開始を予定している。380億立方メートルという設計上の年間ガス輸送量に達すれば、ロシアは中国にとって最大の天然ガス輸入先となる。計画中の中露西線天然ガスパイプライン計画の輸送量も300億立方メートルに達する。工業の応用について、石炭と天然ガスは相互代替が容易で、天然ガスの供給にリスクが生じれば石炭で一部の不足を補える。
総合的に見ると、中国のエネルギー安全の焦点は石油安全問題にある。今後生じうるエネルギー安全のリスクに対応するため、次の準備を整えるべきだ。
（一）戦略的な石油備蓄の形成を加速し、備蓄量を国際エネルギー機関が推薦する90日の安全基準に達するようにする。
（二）高速鉄道、レール交通、電気自動車の発展を促進する。高速鉄道は移動距離800キロ以内の航空機及び自動車の効果的な代替品になる。都市レール交通は都市部の通勤用の車両を減らす。高速鉄道とレール交通は短・中期的に石油消費を抑制する重要手段だ。長期的に見ると、電気自動車の発展を促進することで交通分野の石油の需要を減らすことが、中国のエネルギー安全にとって最も重要な手段となる。
（三）再生可能エネルギーにおいて高い潜在力を秘める風力発電と太陽光発電は昨年、中国の一次エネルギーに占める割合が5.3％に留まった。今年と来年にエネルギーの需要が急速な拡大を続ければ、第13次五カ年計画の再生可能エネルギーの「15％」という目標の達成が困難になる。そのため再生可能エネルギーの発展を加速する必要がある。再生可能エネルギーが占める割合が高ければ、エネルギーの需要増を支えると同時に、その他のエネルギーの使用を減らせるからだ。（筆者・林伯強 アモイ大学中国エネルギー政策研究院長）
｢中国網日本語版(チャイナネット)｣ 2019年6月5日
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