経済貿易摩擦、米国経済の繁栄を促進?=雑誌『求是』

経済貿易摩擦、米国経済の繁栄を促進?=雑誌『求是』。

タグ:中米貿易摩擦

発信時間:2019-06-17 16:46:33 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

 雑誌『求是』は16日、「中米経済貿易摩擦で明らかにしておくべき若干の問題」と題した記事を掲載した。一部要旨は下記の通り。


 2019年に入ると、米国の雇用率が上がり、株価が高水準を維持し、第1四半期の実質GDP成長率(速報)が年率換算で3.2%に達した。中米経済貿易摩擦を引き起こした後、米国経済は理想的な数値を記録しているように見える。米国の一部の人物は摩擦のエスカレートの「自信」をつけている。しかし米国経済のいわゆる「繁栄」を客観的に評価するためには、全面的かつ理性的な分析が必要だ。


 一部の指標を見ると米国経済が上向いているようだが、これを維持できるかは資本の蓄積の状態に注目しなければならない。今年第1四半期の米国民間セクターの季節調整後の固定資産投資の伸び率は1.0%のみで、2017年と18年の伸び率を大幅に下回っている。米政府が発表したデータによると、今年4月の米国の耐久財受注は前月比2.1%減となり、予想の2.0%を上回る下げ幅となった。経済拡張を示す重要な指標であるコア資本財の輸送量は4月に0.9%減となった。発展の趨勢を見ると、経済関係者は米国経済の今後について異なる意見を出している。全米企業エコノミスト協会がこのほど発表した調査報告書によると、多くのエコノミストは米国経済が2020年末までに衰退する可能性がほぼ倍増していると判断した。これは主に米政府の保護貿易政策によるものだ。


 多くの研究によると、米国経済は長期的に見ていわゆる経済の「長い下り坂」に入っている。安定的に上昇するのではなく、安定的に低下している。米国のサマーズ元財務長官を含む多くの学者は、米国の経済状況を「長期停滞」と表現した。現在は米国の中長期的なファンダメンタルズの改善を裏付ける有力な証拠がない。米国人は「史上最高の経済」を絶えず吹聴しているが、事実は雄弁に勝る。米国経済の1950−79年の年平均成長率は4.0%、1980−07年は3.0%、2010−16年は2.2%で、過去2年は2.55%。過去2年の成長率は戦後のいわゆる「黄金時代」と90年代の「クリントンの繁栄」に遠く及ばないばかりか、オバマ政権中後期と比べてもほぼ横ばいで、4%以上という約束の実現には程遠い。


 米国の減税による経済成長の効果は限定的で、財政に大きな圧力をもたらす。米国の財政赤字は近年急増している。米財務省が今年2月に発表したデータによると、米連邦債務残高は今年2月に22兆100億ドルに達した。「新債券王」と呼ばれる米ダブルライン・キャピタルのガンドラックCEOは、米国経済の成長は債務の成長に過ぎないと断言している。シティバンクも、市場が米国の返済能力を疑う「致命的な時」が間もなく到来すると警鐘を鳴らした。この「致命的な時」は、中米経済貿易摩擦のエスカレートにより早めに到来するかもしれない。


 中米経済貿易摩擦は米国経済に深刻な悪影響を及ぼし、米国経済の足を引っ張る重い負担になる。生産を見ると、中米製造業は強い相互依存関係であり、米国の多くの製造メーカーが中国の原材料と中間製品を必要としている。互いに関税を引き上げることで米国企業の生産コストが拡大し、利益が減少する。消費を見ると、関税引き上げにより米国内の物価が上昇し、消費者が同じ量の商品を購入する場合の支出が拡大する。そのため所得水準が変わらなければ必然的に需要が低迷する。貿易を見ると、中米の関税引き上げは米国の対中輸出を減らすと同時に、米国企業の生産コストを上げる。これにより米国製品の国際的な競争力が下がり、輸出に影響が生じる。


 経済グローバル化の時代において、保護貿易主義は良薬ではなく毒薬だ。経済貿易摩擦に勝者はなく、自他ともに傷つける。1930年代の大恐慌の重要な原因は、欧米などの国による関税障壁だ。貿易戦争の失敗の前例は近い所にある。


「中国網日本語版(チャイナネット)」2019年6月17日



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