市場調査機関IDCが発表した報告書によると、ウェアラブルデバイス業界全体が今年第1四半期に急成長を実現し、世界出荷台数が前年同期比55.2%増の4960万台に達した。
ウェアラブルデバイスが新技術製品であり、今回の爆発的な成長は産業内外の要素によるものだ。
産業の内部を見ると、センサー技術の成熟、バックエンドの計算能力の強化、マンマシンインタラクション技術の進化、消費者の需要への認識の掘り下げが近年続いている。これはウェアラブルデバイス市場の急成長を力強く促した。産業の外部を見ると、スマート化の波がAIの応用を促進しており、5Gネットワークがフルオンラインのフルクラウド化されたネットワーク環境を提供する。これらの外部の要素は、ウェアラブルデバイス市場の発展の理想的な条件を整えた。
今回の急成長は、次の2つの重要なシグナルを発している。
(一)AI関連製品が急成長を迎えようとしている。ウェアラブルデバイスは一般消費者がAI技術に触れる手段の一つであり、次世代個人消費スマート設備の発展方向を示している。今回のウェアラブルデバイスの出荷台数の増加には重要な意義があり、AI関連製品の急成長の前触れとして見ることができる。
(二)消費者のウェアラブルデバイスに対する許容度に大きな改善があった。長期的に見ると、スマートウォッチ、スマートブレスレット、スマートゴーグルなどのスマート設備は実用的な機能が少なく、製品の精度が低く、実需があったわけでもない。これにより消費者の許容度が低かった。今回の急成長は、この許容度の大きな改善を示しており、かつ市場規模がさらに拡大すると予想できる。
業界内の企業はこのチャンスを迎え、次の5つの取り組みを強化できる。
(一)中核技術を形成する。業界内の企業は中核技術の研究開発と応用を中心とし、ウェアラブルデバイスの特性と十分に結びつけ、産業及び応用の範囲を積極的に拡大し、ウェアラブルデバイス中核技術を積極的に形成するべきだ。
(二)ユーザーの不満を解消し、体験性を改善する。市場の反応を見ると、関連製品には現在も精度が低い、相互作用が弱い、バッテリーの持ちが悪いといった問題がある。企業は製品の問題を解消することで初めて、ユーザーの需要をより良く満たすことができる。
(三)ビジネスモデルの育成を重視する。メーカーは現在ハードの販売を中心としており、ソフト及びデータサービスが不足している。関連ビジネスモデルの育成、サービスプラットフォームの発展に大きな進歩の余地が残されている。
(四)個人データ商品の開発を加速する。ウェアラブルデバイス業界の発展はデータ量の爆発的な増加をもたらす。すべてのユーザーが個人のデジタル生態系を手にする。個人データを集め、まとめ、分析することで、より大規模なデータ産業が生まれる。
(五)ウェアラブルデバイスの安全問題を重視する。パソコンやスマホなどでも、情報安全とプライバシーの保護はユーザーの関心事だ。ウェアラブルデバイスの安全性に注意する企業は少なく、ウェアラブルデバイス安全産業は依然として空白のまま残されている。(筆者・左鵬飛 中国社会科学院数量経済・技術経済研究所研究員補佐)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2019年6月22日
「中国網日本語版(チャイナネット)」2019年6月13日