米国が世界関税戦を仕掛ける中、コスト高騰により、米国で業務を行う大手がまた1つ閉店することになった。今年初め、この企業は1ドルで米国に約38万平方メートルの土地を取得した。
CNNとウォール・ストリート・ジャーナルは、スウェーデンの大手家具メーカーのIKEAが今年12月、米バージニア州ダンビルにある工場を閉鎖すると伝えた。米国にあるIKEAの唯一の家具工場である。
IKEAは、コストを削減できるため、北米の運営を欧州に移転すると発表。同様の商品を欧州で生産すれば、米国で生産するよりコストを70%低く抑えることができるという。
CNNによると、ダンビルの工場は2008年に操業し、約300人を雇用し、全米とカナダの棚と収納家具を含む木製品は全てこの工場で生産している。ダンビル工場の閉鎖は、従業員300人の失業を意味する。IKEAは上述の決定と同時に、米国の原材料価格が欧州の原材料価格を上回ったことを明かした。IKEAはポーランド、ロシア、スウェーデンの欧州3カ国に工場を保有している。
ダンビル市のある官僚はウォール・ストリート・ジャーナルに対し、「IKEAの工場閉鎖により、市の税収は年間約50万ドル損失する。IKEAは工場をダンビルに設置し、8550万ドルを投資し、271人の雇用を創出し、約380万ドルの政府と地方の補助金も取得した。年間1ドルで工場がある94エーカー(約38万平方メートル)の土地を借りていたが、IKEAは今年初めに1ドルでこの土地を買い取った」と話した。
毎日新聞によると、IKEAは上述の決定を発表する際、トランプ政権は「米国製」の販売推進を含む米国の製造業発展を推し進めていた。米国の各大企業が雇用を増やすという証拠は現在ない。逆に、A.T.カーニーの最新研究で、米国の製造業の成長はアジアの国と地域よりまだ遅れており、トランプ政権の関税が逆効果になっていることもわかった。
閉鎖の背景 米国の製造業の衰退
実は、世界的な大手家具メーカーであるIKEAの米国唯一の工場の閉鎖の背景は、米国の製造業の衰退である。
トランプ氏が世界貿易摩擦を仕掛けたことで、米国の製造業は2四半期連続で低下し、今年6月には衰退に陥った。特筆すべきは、今年は米国の金融危機後に回復して11年目で、トランプ氏も米国の製造業をピークに戻すことを何度も約束している点である。しかし今ところ、効果は理想的ではない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2019年7月18日