「産業インターネットにインターネット情報通信技術は欠かせず、将来が最も期待されるのは5Gである」。10月18日に瀋陽市で開幕した2019産業インターネット・グローバルサミットで、中国移動遼寧有限公司の王暁明副社長は、5G時代の産業インターネットビジョンに十分な想像余地を残した。
現代の最も先進的なITとして、5Gと産業インターネットの初歩的な結合は威力を発揮している。王暁明氏は具体例を挙げ、華晨BMWと瀋陽機床において、5Gは企業生産にスマート循環点検サービスを提供していると話した。中国科学院瀋陽自動化所では、全シーンの産業メンテナンスと産業機械の健康管理が行われ、設備故障率は10%低下した。鞍鋼では、熱延鋼生産ライン、ローラーコンベア機械の全生命周期の管理、冷延鋼表面のスマート点検などに全面的に応用されている。大連氷山集団では、冷却設備生産でAR巡回点検を実現し、専門家による遠隔指導などの応用を通し、効率を20%向上させた。彼は、5Gはその他の技術と協同し、産業インターネットに倍の効果をもたらすと強調した。
華為(ファーウェイ)技術有限公司運営事業部の徐速部長は、「5Gを客観的かつ合理的に扱う必要がある。5Gは万能ではないが、性能において80%以上の公共シーンに対応できることは確かだ」と話す。
5Gを人工知能(AI)、IoT、クラウドコンピューティング、ビッグデータ、エッジコンピューティングなどの技術と組み合わせ、全5G応用を構築すれば、産業企業のコスト削減と効率向上、スマート化、情報化のグレードアップを推し進めることができる。5Gのスライス技術をIoTビッグデータ、クラウドコンピューティングなどと組み合わせれば、安全な専用と公用のネットワークを形成し、データ収集、予防性メンテナンス、遠隔監視サービスなどに応用できる。王暁明氏は、「5G技術はプライバシー性と信頼性の高い産業企業に新たな解決策、運営スタイル、ビジネススタイルをもたらすと言える」とまとめた。
中国産業インターネット研究院データプラットフォーム班の張義班長は、「人同士の通話では一度で繋がらない場合はもう一度かけることができ、ユーザーから苦情があるだけにすぎない。機械同士の通話は繋がることが必須で、精油所やガソリンスタンドでは爆発に繋がり、人命と財産が巨大な脅威を受けることにもなりかねない。5Gの登場は物と物の持続的な接続を可能にした」と話す。
これは産業生産において重大な意味を持つ。張義氏によると、調査研究で、化学工業、機械、蒸気タービン、航空機製造、電力などの分野において、5G技術と産業生産の密接な結合は化学反応を引き起こしていることがわかった。質と効率の向上、コストと在庫の削減の面で良好な効果を発揮し、5Gの実体産業への寄与を大幅に引き上げた。中国は世界唯一の5G産業パークを持つ国であり、良好な通信インフラと産業基礎は産業インターネットの中国実体経済における応用に幅広い余地を形成した。
しかし、産業シーンを5Gと産業インターネットにどのように応用するかには、まだ多くの越えなければいけない壁がある。張義氏によると、生態の面で見ると、産業生産の分野を超えた融合、細分設備の専門性に対する要求が高く、企業間の融合・融通、相互促進という産業生態はまだ形成されていない。技術面で見ると、技術と業務の溝を埋める必要がある。ITが産業シーンを把握しきれておらず、産業企業の主な工程、工芸手順に対する理解が不足し、真のニーズを満たせるとは言い切れない。
張義氏は、複雑な産業ニーズに対し、5Gは産業シーンに合わせた接続プランを提供する必要があるが、標準化の難しさは構築と運営に多くの試練をもたらすとの見解を示す。5Gの産業インターネット分野での応用は伝統的な通信サービス市場と大きく異なり、企業運営スタイルは多様化し、二者が協力するビジネススタイルも検討しなければいけない。そのほか、5Gネットワークの建設と運営コストは高く、短期間で、5Gの産業インターネット分野における利益モデルも模索する必要がある。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2019年10月27日