『ロイター』によると、米商務省産業安全保障局(BIS)は先ごろ、新たな輸出規制措置を発表した。これによって米国企業は、カナダを除く海外に地理空間画像ソフトを輸出する際に許可が必要となる。スマートセンサー、ドローン、衛星、その他自動設備の目標認識ソフト(民用と軍用の両方)が規制の対象だ。同措置は、2020年1月6日から実施される。
報道によると、この輸出規制は、センサー技術を「中国などのライバルに渡したくない」という米国の考えが背景にあるという。戦略国際問題研究所(CSIS)上級副社長兼ディレクターのジェームス・ルイス氏は、米国政府は、中国の研究開発と軍事用AI製品の実用化を米国企業が手助けすることを阻止しようとしているとの見解を示した。
米共和党と民主党の議員による輸出規制の強化が遅いことに失望し、米上院少数党院内総務のシューマー氏は、措置を加速するよう商務省に促していた。
しかし、業界内には異なる意見も出ている。「2018年の輸出管理改革法」発表から間もない2019年初め、「ニューヨーク・タイムズ」ウェブサイトは、AI分野に詳しいケイド・メッツ記者の「AI輸出を規制?シリコンバレーは優位性が失われると懸念」という記事を掲載し、業界関係者が輸出規制によって米企業が損害を被る可能性を懸念していると伝えた。
同記事は、米国が中国市場を放棄することは、市場縮小による利益の減少と競争力の低下を招く一方、中国や欧州、日本、韓国などのライバル国に有利に働く可能性があると指摘。米国のIT企業、学会、リーダーたちも米商務省に「AI輸出規制」の軽減を呼びかけてきたとしている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2020年1月6日