仏紙「ル・フィガロ」は2月9日にウェブサイトで、「中国金融市場の影響力がますます拡大」というタイトルの記事を掲載した。
記事によると、中国で発生した新型コロナウイルス肺炎の流行は、数カ月続いていた世界的な株式相場の上昇トレンドを打ち砕いた。前年同期比で26%高だったユーロネクスト・パリ「CAC40指数」は上昇が突如止まり、1月中旬の6100ポイントを超えたピーク時に比べ1.6%下落した。米国の株式市況は多少良いが、米国株のパフォーマンスは好決算を発表したIT大手のグーグルやアップル、フェイスブック、アマゾン、マイクロソフトといった一部銘柄の動向に左右されやすい。
不確定な要因が広がっているものの、過去の値動きとは異なり、中国株式市場は冷静さを保っている。
資産運用会社の仏カミニャック戦略投資委員会メンバーを務めるディディエ・セントジョージ氏は、「現時点では、今回の流行病の厳しさを誰も正確に評価することができず、経済や金融市場にもたらす影響を見積もることがほとんどできない」と解説した。一方で確かなのは、中国経済の成長が依然として世界経済成長の主要な原動力になっていることと指摘。「仮に中国経済成長が不安定になれば、その影響から逃れられないだろう」としている。
長期にわたって閉鎖的だった中国の株式市場は世界への開放が進み、それに伴って影響力を強めている。カミニャック中国市場アナリストのハイエン・リラベイ氏は、世界の株式市場に上場する中国企業の時価総額が合計11兆米ドル(1米ドルは約6.99元)という巨額に上ると分析。中国が多くの市場で自身の影響力を広げており、その影響は国境をはるかに越えているとの見方を示した。すでにある程度の期間にわたり外国資本にオフショア市場を開放している上に、中国の広大な国内市場も開放が進んでいるとしている。