特殊なオンライン記者会見で、家具とインテリア用品の小売大手IKEAは10日、「IKEA天猫フラッグシップショップ」の開設を発表した。創立77年のIKEAが第三者プラットフォームで消費者に商品とソリューションを提供するのは初めてとなる。
IKEA中国エリア責任者のアンナ・クリガ氏は、「これは中国の消費者に提供する新しいデジタル環境でのIKEAとの接点になる。昨年8月、IKEAは中国市場向けのチャネルとデジタル化を重点とした“未来+”発展戦略を発表した。天猫に加わると同時にIKEA公式アプリをリリースすることは、この戦略の重要な一里塚である」と述べた。
中国はIKEAが重点を置く市場の1つ。1998年に上海店を開設して以来、IKEAは中国に標準店30店舗、小型店1店舗、体験店2店舗を展開し、上海に「IKEA中国デジタルイノベーションセンター」を設立した。中国はスウェーデンを除きIKEAの完全なバリューチェーンを有する唯一の市場になり、商品デザイン、テスト、生産、仕入れ、倉庫管理、配送、小売、ショッピングセンター、デジタルイノベーションなど各分野を展開している。
突然の新型コロナウイルスの流行により、没入型体験に力を入れるIKEAもダメージを受け、一部店舗は今も営業を再開していない。
しかし、クリガ氏は、デジタル化戦略に頼り店舗業務を調整し、オンラインチャネルを多様化し、感染症流行の中でIKEAは中国の消費者の「いつでもどこでも買い物がしたい」というニーズを満たしていると考える。
ここ数カ月、感染症流行は消費市場と小売業界に大きな影響を及ぼした。ベインキャピタルがアリババと共同でまとめた報告『感染症流行に直面、消費分野の企業の対応とモデル転換の道』によると、感染症流行期間、家庭用・社交類の非必需品のニーズと売上に減少が見られる。
ベインキャピタルのグローバルパートナーで大中華圏消費財業務責任者の鄧旻氏は、「感染症流行はブランドに大きな圧力をもたらした。ブランドが伝統的な考え方と成長方式を突破し、真のデジタル化を実現できれば、危機をチャンスに最大限に変えることができる。感染症流行という試練を前に、消費分野の多国籍企業は中国市場の世界構成における重要性を十分に評価し、特殊な時期に正確な判断をする必要がある」との見解を示した。
実は、厳密な予防抑制措置はネット通販や出前をはじめとする「宅経済」を後押しし、一部の多国籍企業は中国ネット市場の巨大な活力を感じている。化粧品大手のロレアルが明かした情報によると、今年2月、ロレアルの中国でのネット売上高は前年同期比で増加を実現した。
感染症流行によって際立った中国ネット市場の潜在力は、関連分野の多国籍企業大手の行動を加速化した。
2月末、ペプシコ社は好想你健康食品股フェン有限公司と傘下の杭州郝姆斯食品有限公司を7億500万ドルで買収することで合意に達した。郝姆斯食品は中国の有名なスナック菓子販売サイト「百草味」を保有し、この買収はペプシコの中国オンライン事業強化に向けた重要な措置と見られている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2020年3月14日