世界的な製造業大国である中国の各製造メーカーは今回の感染対策において、異業種である感染対策物資の生産に成功し広く注目を集めた。
中国企業が異業種に参入
天眼査のデータによると、2月1日から3月15日の間に全国の2万8000社以上の企業(事業登録変更情報に基づく)が、事業範囲に「マスク、額式体温計、消毒液、防護服、医療機器」などの関連事業を追加した。
企業の異業種への参入は、現場の感染対策物資、特に医療用防護服やマスクなどに大きな不足があるためだ。また政府レベルの奨励も受けている。
柔軟なサプライチェーンで臨機応変に対応
上汽通用五菱はマスク生産を発表してから、わずか数日で第1陣の商品交付にこぎつけた。
自動車メーカーのBYDは2月8日、微信公式アカウントでマスク及び消毒液の生産支援を発表し、同月16日に第1陣の医療用消毒ゲルを現場の感染対策人員に向け出荷した。
建機メーカーの天意高科技公司は、わずか20日で異業種のマスク開発に成功した。2月10日から40人の技術者を集め開発に着手し、わずか7日で試作機の設計図を作成し、さらに13日で全自動マスク生産装置を開発した。
これらの企業が、これほどスムーズに異業種に参入しているのはなぜだろうか。
科技日報が複数の専門家を取材したところによると、マスク生産の技術のハードルは高くない。自動車業界は「大産業」の優位性を持ち、その力強い生産能力と効率的な社会資源調整能力があれば、マスク生産はそれほど難しくないと言える。
例えばマスク生産の重要な原材料は特殊なポリプロピレンだが、この材料は自動車のインテリアに多く使用されている。医療用マスクの生産は気温と湿度を一定させ、かつ無塵環境を確保しなければならないが、これは自動車メーカーの塗装ラインと合致する。
そのため整った柔軟なサプライチェーンは製造業の臨機応変な対応の基礎であり、挑戦に対応しリスクを回避する鍵でもある。
異業種への参入、新たな活力を引き出す
北京億都川服装集団有限公司の創業者である何博遠氏は、「従来とは別の商品を作るために、企業は既存の生産条件に基づき生産ラインの改造、設備調達、従業員の訓練、資格申請を行い、さらに必要な生産技術及びフローを把握しなければならない」と指摘した。生産ラインと原材料の投資を短期間内に取り戻せず、感染終息後に市場の需要が激減することは明らかだが、これらの異業種に参入する企業はどうなってしまうのだろうか。
専門家によると、中国の医療機器市場には大きな需要がある。中国の医療機器の市場規模は2018年の段階で5304億元に拡大していた。国内の消費水準の向上、高齢化の進行、医療保険のカバー範囲の拡大に伴い、医療の需要及び医療機器の市場規模が引き続き拡大する見通しで、将来性が期待されている。
山河智能の朱建新副総経理はメディアの取材に応じた際に、「マスク生産装置は特殊設備で、当社が生産する一般的な製品になる。今回の感染終息後に人々の生活習慣に変化が生じる。今後の市場に十分に期待している」と述べた。
夢潔集団サプライチェーンセンターの但涛総経理は、「防疫製品の生産への参入は、当社の医療・ヘルスケア事業の一部に過ぎない。当社は現在、健康機能商品及び材料を開発しており、装飾用紡績品と健康機能を結びつけている。これまでの販売の反応から、市場の健康製品への需要と期待を感じている」と述べた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2020年4月4日