多くの貿易会社は感染終息後、貿易と国内販売の「二足歩行」を行う。彼らは自力救済のほか、自主ブランド建設の取り組みを強化し、ECサイトの「快速列車」に便乗する。「新国産ブランド」の台頭ペースを上げることで、国内の消費アップグレードを促進している。
第1−2四半期の受注に影響、積極的に自力救済
寧波瑞孚工業集団は美容・美髪用具、ベビー・子供用品などを取り扱っている。同社の貿易事業は全事業の95%を占める。同社傘下の華孚進出口有限公司の孫公楽副総経理によると、2月10日の操業再開時の従業員の職場復帰率は2割未満で、「仕事があってもやる人がいない」だったが、3月中旬にはほぼ全員が職場復帰した。世界の感染状況の変化により、海外からの注文が延期もしくはキャンセルになっている。「人がいても仕事がない」だ。
華孚公司の状況は、多くの貿易会社の縮図だ。
この状況を受け、各地政府は各種政策を打ち出し貿易安定を促進している。企業の税負担を軽減し、資金援助を行っている。さらにビジネス環境を絶えず改善し、企業の経営リスクを縮小している。
同時に貿易会社も積極的に自力救済を展開している。既存の取引先とのつながりを維持すると同時に、感染状況が比較的軽度の国際市場の開拓を続け、リスクを分散している。税関総署の統計によると、中国の1−2月の貨物貿易輸出入額は前年同期比9.6%減の4兆1200億元。貿易赤字は425億9000万元(昨年は2934億8000万元の黒字)。うちEU、米国、日本との輸出入が減少したが、ASEAN及び「一帯一路」沿線国との輸出入は逆境のなか増加した。その一方で、一部の越境EC業務は減るどころか増えている。企業は越境ECサイトによる海外進出が可能だ。
さらに多くの企業が国内市場の潜在力に着目し、次の取り組みで輸出を国内販売に転じ始めている。(1)製品ラインナップを調整するか、国内販売に適した新製品を開発する。(2)製品の価格を見直す。(3)オフラインの宣伝と展開を加速する。(4)オンラインの宣伝・販売ルートを切り開く。拼多多、淘宝、京東などのECサイトと協力を掘り下げる。
国内市場に焦点を絞り、新国産ブランドの台頭を推進
オフラインルートの開拓が順調に進まず、ブランドの樹立に時間がかかる。そのためオンラインルートを開拓し、デジタル化モデルチェンジを行うことが、一部の貿易会社が輸出を国内販売に転じるための重要な足がかりになっている。ところがこれは貿易会社にとってチャンスであり、挑戦でもある。
一部の貿易会社は国内市場の「新人」で、国内販売に転じる際に次の壁にぶつかる。製品が国内消費者の感覚に合わない、もしくは価格が割高。国内に自主ブランドを持たない、もしくはその知名度が低い。国内消費市場への理解が浅く、国内市場に特化した人材チームが不足している。
これらの問題について、一部地域の政府が中心になり、企業とECサイトの協力掘り下げを強化している。
浙江省商務庁は26日に杭州市で「国内市場の開拓に焦点を絞り、貿易会社のアップグレードを推進する」をテーマとしたオンラインマッチングイベントを開催し、貿易会社のEC運営方法の理解を促進した。同時に800社以上の貿易会社が、天猫、1688、考拉海購、網易厳選などのECサイト運営企業とオンラインマッチングを行った。
アリババの調達・卸売りサイト「1688」の担当者である楼端氏は、「ECサイトは基礎の商品取扱からマーケティングプランに至るサポートを貿易会社に提供する。またライブコマースを利用し、企業のオンラインにおける壁の打破を支援する。現在まで泉州と東莞でライブ配信を実施している。一部企業は注文キャンセルから販売増への変化を実現した」と述べた。
一分一秒を争う、感染終息後に焦点
世界の感染がいつまで続くかが現在不明であることから、一部企業は感染対策の後半戦に積極的に「自力救済」を展開すると同時に、感染終息後に焦点を絞っている。
海外の一部の取引先からは交付の延期もしくはキャンセルが入っているが、貿易会社は海外企業と頻繁な連絡を維持し、直ちに海外の状況を理解する必要がある。国際市場の回復に向け事前に準備を整えれば、タイムリーに反応できる。
感染終息後、多くの貿易会社は貿易と国内販売の「二足歩行」という手段を講じる。企業の競争力を高め、特に世界の不確実性が貿易にもたらすリスクを回避するため、国内販売をより重視し、国内事業の掘り下げを検討し、貿易と国内販売の両面に取り組むことになる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2020年4月4日