世界各国が新型コロナウイルスの脅威への対応に奔走するなか、東アフリカ諸国はバッタの大規模侵入という新たな苦境を迎えている。今回の蝗害の規模は年初に生じた初の蝗害の20倍。報道によると、東アフリカの多くの国は今回、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、殺虫剤の輸入さえも困難になっている。現在の一般人は自宅待機命令により駆除もできない。これによりアフリカの食糧供給リスクがさらに拡大している。現地の農家は、今回の蝗害は新型コロナよりも壊滅的だと述べた。「環球時報」が伝えた。
第2波の蝗害、驚異的な規模に
11日付USAトゥデイによると、一部の東アフリカ諸国は年初、70年に1度の特大蝗害に見舞われた。ところが予想外にもその数カ月後、同地域が第2波の蝗害に見舞われた。その規模は前回の20倍。数十億匹のバッタの幼虫がソマリアの繁殖の温床から生まれ、雨期に成長した新鮮な植物を求めている。当初より貧しく弱い立場であるアフリカの1000万人以上の市民が再び危難に見舞われた。
蝗害が最も深刻なケニアの農業地域のライキピアで、現地の農家は「世界各地が感染対策に専念し、バッタを忘れている。しかしこれは私たちの眼前に突きつけられた現実的な問題だ」と話した。ウガンダの農家は11日、AP通信に「皆が蝗害について話している。蝗害は新型コロナより壊滅的と言う人もいるほどだ」と訴えた。
ケニアの首都ナイロビの気候予測・応用センターは11日、かつてない特大規模のバッタが東アフリカに襲来してると発表した。同センターの衛星情報アナリストは、「この新たなバッタは2月のバッタと異なり、育ち盛りの若い成虫が含まれる。その食べる量は成虫よりも多いほどだ」と指摘した。ある科学者は、第2・3波のバッタの数は第1波の400倍にのぼると予想した。
感染症により殺虫剤を購入できない国も
国連食糧農業機関(FAO)は被災10カ国を対象に、災害状態観測及び空・地上からの散布活動のサポートを行っている。FAOは今年1月より同地域の24万ヘクタールの土地に化学・生物殺虫剤を散布し、地上の蝗害対策に取り組む740人の専門人員の訓練を行った。
米NBCの11日の報道によると、蝗害抑制の最も効果的な手段は空からの殺虫剤の散布だが、東アフリカの農用航空機の数は限定的だ。この不足を補うため、ウガンダ政府は2000人以上の軍人を動員し噴霧器で殺虫を行っているが、効率が大幅に低下している。さらに同国農業省は、感染症により世界の貨物輸送が大きく妨げられており、日本から殺虫剤を輸入できないと発表した。情報によると、ウガンダ政府は蝗害対策資金を400万ドル追加した。同国は殺虫のためヘリ6機を動員している。
その他の東アフリカ諸国も似たような挑戦を迎えている。ソマリアが海外に注文した殺虫剤は3週間遅れで到着する。ケニアの当局者によると、新型コロナに伴う渡航制限により国を跨ぐ取引が緩慢になっており、殺虫剤の輸送に遅れが生じている。これにより蝗害対策の難易度が上がっているという。またケニアの蝗害調査人員も感染症により外出を控えており、蝗害の予測の更新がいっそう難しくなっている。
蝗害により数千万人が飢餓か
FAOは10日、東アフリカの被災国で2000万人弱がすでに深刻な食糧危機に直面していることから、蝗害を効果的に抑制できなければ地域の食糧安全及び生計が未曾有の脅威にさらされると発表した。多くの人が住む場所を失い、地域の緊張が激化する恐れがあるという。
米ニュースサイト「クオーツ」の11日の報道によると、アラビア半島由来で東アフリカに拡大した第1波の蝗害により、ケニアの草地の30%が破壊された。蝗害を効果的に抑制できなければ、東アフリカ全体の食糧安全問題に直面する人の数は6月までに、2000万人からさらに5000万人増加する。FAOはサバクトビバッタ対策の募金の規模を1億5300万ドルに拡大するよう呼びかけており、すでに集まっている、もしくは寄付の約束が取れている資金は1億1100万ドルに達している。中国を含む11カ国政府のほか、国連中央緊急対応基金など多くの国際機関が寄付を行っている。
AP通信の11日の報道によると、FAOはアフリカの他にも蝗害に見舞われている地域(アラビア半島のイエメン、サウジアラビア、オマーン、及び南西アジアのイラン、パキスタン)を列挙した。イエメンのアデン北部及びオマーンの海岸で発育中の群れが見つかっている。脱皮したばかりで発育中のバッタの群れがペルシャ湾付近で見つかっている。イランは現在春の種まきシーズンで、前回バッタが集まった南部の海岸で新たな群れが拡大している。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2020年4月13日