ウォール・ストリート・ジャーナルは14日、「新型コロナで中欧班列が活況」と題した記事を掲載した。要旨は下記の通り。
新型コロナウイルス感染症により海上・航空輸送の価格高騰や寸断が生じ、各社は鉄道輸送への切り替えを余儀なくされている。鉄道輸送は中国の「一帯一路」イニシアチブを支える中核的要素だ。
中国は近年、中央アジアを経由し中国と欧州をつなぐ鉄道貨物輸送を復活させている。「中欧班列」(国際定期貨物列車)は史上最も忙しい1カ月を迎えた。4月の運行本数は前年同月比47%増の976本にのぼった。
中欧班列の貨物輸送サービスの予約を仲介する、深セン市の物流企業の副総経理である厳氏は「2月以降、新たな取引先が増えている。個人防護用品の出荷が、拡大した需要の一部を占めている」と述べた。また欧州の小売業者に春物を出荷する衣料品サプライヤー、ドイツ及びオランダの自動車工場からの緊急の注文を受けた自動車部品サプライヤーも、感染期間中にこの鉄道サービスを初めて利用する企業になった。
新型コロナが世界の工場の生産を乱し、消費者の一部の商品に対する需要が縮小したことから、遠洋海運企業が多くの運行をキャンセルした。世界航空大手も大幅な減便(通常は一部の商業貨物も運ぶ)を強いられ、空輸価格が高騰した。これらは中欧班列の成長を促した。ユーラシア鉄道路線は昔からあったが、中国が中欧班列を開始するまで、各国を跨ぐ長距離貨物輸送サービスはほとんど存在しなかった。
HPなどのメーカーが率先して同サービスを利用した。HPは数週間内に中国で製造した製品を欧州の店に届けようとしていた。自動車メーカーも中欧班列をよく利用する。ボルボは中国製の自動車を欧州に輸送し、ダイムラーやポルシェは欧州製の自動車を中国市場に輸送する。
中欧班列の昨年の運行本数は8225本で、4年間で9倍増となった。西行きの列車のほとんどが中国中西部の中枢都市である成都市、重慶市、西安市、鄭州市から出発する。欧州側の主要目的地にはドイツのデュイスブルク、ハンブルク、ポーランドのワルシャワがある。
厳氏は「利用者は感染期間中、海上・航空輸送を上回る鉄道サービスの信頼性を目にした。彼らは長期的に中欧班列を選ぶだろう」と述べた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2020年5月15日