感染症抑制期間、各種の「クラウド生活」の中で、SNSは欠かせない存在となった。中国インターネット情報センターが先日発表した『第45回中国インターネット発展状況統計報告』(以下、報告)によると、中国のSNSのカバー率は安定して上昇し、インターネットの新技術、新ニーズはSNSに新たな特徴をもたらした。ソーシャル商品の持続的なイノベーション、ソーシャル要素によるアクセス数増加、SNSの社会公益支援、SNS環境の改善などがそうである。
多様なニーズを満たす
報告によると、今年3月の時点で、WeChat、QQ、ウェイボーの3商品の普及率は比較的高い。各大手メーカー、各種商品の共存はSNSの発展傾向の1つとなっている。
昨年初め、3種のソーシャル商品は同じ日に利用者最多記録を樹立した。字節跳動(バイトダンス)、雲歌人工智能、快如科技はそれぞれ多閃、馬桶MT、聊天宝をリリースし、ソーシャル分野の競争を激化させた。1年が過ぎ、一部の商品がひっそりと消えたことは、SNSの戦場が過酷であることを示す。
SNSと動画を組み合わせ、ユーザーの利用時間と粘性を増やすことはSNSのイノベーション方針であり、こうして音声、ショートムービー、中継などが新しい形式としてソーシャル商品や機能が登場した。ショートムービーの「多閃」、音声の「吱呀」と「音遇」、知乎が開設した中継機能などがある。音楽サイトも負けていない。統計によると、2019年第1~3四半期、ストリーミングメディア中継サービスを中心とするソーシャル娯楽サービスの営業収入は騰訊音楽集団の総営業収入の72.4%を占めた。
動画SNSは文字SNSと比べてインタラクション性、没入感、シンクロ性が高く、多様かつSNS依存が高い若者ユーザーを獲得できる。業界専門家は、5Gの普及に伴い、動画SNSはは爆発的発展を迎えると見込んでいる。
艾媒諮詢(iiMedia Research)の張毅CEOは、ショートムービーSNSは次世代のSNSツールの主な方向になると考える。十分なインフラが動画SNSの応用と深化を支え、若者の使用習慣を見ても個性的な動画SNSを使用する傾向が強いという。
動画SNS分野だけでなく、一部の企業は「逆光」し、ソーシャル関係のニッチ市場を開拓し、関係の距離に基づいてストレンジャーや「いいねの付き合い」などのディープなSNS商品を打ち出した。騰訊と陌陌がリリースした多種の匿名SNSアプリ、搜狐とウェイボーが打ち出した浅いコミュニケーション型SNS「狐友」や「緑洲」などがそうである。
ソーシャルECが人気
「種草(SNSでの商品シェア、宣伝)」、共同購入、中継販売、ソーシャルECなど、「全民SNS」はデジタル消費手段を増やし、ソーシャルサイトは各種のユーザーに向けて充実した接続ルートを構築した。ブランドのアカウント、オウンドメディアのアカウント、スターが意見を述べるカリスマ性のあるアカウント、個人ユーザーのアカウントなどはソーシャルECの持続的な急成長を促した。
報告によると、2019年のインターネット消費は内需拡大の面で積極的な役割を果たした。うち、ソーシャル、中継ECをはじめとする新しいECのスタイルが革新的に発展し、潜在的な内需を引き出し、インターネット消費の新たな原動力となった。
推計では、2019年のソーシャルECの取引額は前年比60%以上増加し、全国インターネット小売額の増加幅を大幅に上回っている。モバイルSNSの急成長をもとにした新興のECスタイルとして、ソーシャルECは小売市場に浸透している。
消費財メーカーもSNS、新興のソーシャルECサイトで次々と力を発揮し、各大型のECサイトもソーシャル生態を戦略に組み入れている。2019年の「双11」(ネット通販セール)、10万店以上の淘宝ショップが中継を行い、中継販売をはじめとするソーシャルECは人気を集めた。
業界専門家は、ソーシャルECはSNSまたはインタラクティブ・インターネットメディアを生かし、シェア、コンテンツ制作、小売りなどの方法を通し、伝統的なECスタイルのイノベーションを実現したとの見解を示す。ソーシャル生態の繁栄は、ビジネスの運営と販売が切り離されていた従来の状況を変え、ブランドはSNSを通して消費者との距離を縮め、コミュニケーション効果を上げただけでなく、運営から販売までのチェーンを縮め、コミュニケーションコストを削減した。
中国貿易促進会研究院国際貿易研究部の趙萍主任は、「伝統的ビジネスのオンライン・オフライン融合が進むにつれ、ソーシャルECなどのプラットフォームを通した新型の消費は増加余地が拡大する。国は新消費スタイルと新業態の発展を奨励し、関連企業のサービス提供方法のイノベーションを促し、消費の潜在力を持続的に引き出すべき」だと述べた。
社会的価値が際立つ
インターネットアプリが庶民の生活と密接化するのにともない、SNSや決済などのアプリは社会公益の面でも効果を発揮している。インターネットは公益活動への参加の敷居を低くし、慈善事業の発展に巨大な活力を注いだ。
報告によると、SNSは公益活動の宣伝において巨大な促進作用を発揮し、公益援助の重要な発生源になっている。2019年上半期、民政部が指定した20社のインターネット公開寄付募集情報サイトで総額18億元が集まり、騰訊公益や微公益などはSNSを利用して公益慈善活動をサポートした。新型コロナウイルス感染症との戦いにおいても、1億人以上のユーザーがウェイボーの最新流行状況、予防サービス、公益支援情報を閲覧した。今年2月4日までに、ウェイボーの人気検索ワードに上がった感染症関連のワードは60%以上を占めた。
そのほか、SNSは政務サービスの主なプラットフォームにもなっている。2019年12月時点で、新浪のサイトに開設された政務機関のウェイボーは13万9000アカウントに達し、中国31の省(区、市)が政務機関のウェイボーを開設している。今日頭条やTikTokなどのSNSでも、政務サービスのカバー範囲が拡大している。2019年12月時点で、各級政府が開通した政務ヘッドラインは8万2937アカウントになり、2018年末より4757アカウント増加した。TikTokでは、各級政府が開設した政務TikTokは1万7380アカウントになった。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2020年5月16日