世界トップレベルの総合学術誌『Nature(ネイチャー)』が先ごろウェブサイトに掲載した論文で、中国の防疫「コンビネーションパンチ」が非常に高い効果をあげているとの見解が示された。同論文の数学モデルを使った推測によると、もし即座に介入措置を講じていなければ、2月29日時点で中国の新型コロナウイルス感染者は実際の67倍に増え、数百万人を超えていた可能性があるという。
同論文は復旦大学、英サウサンプトン大学、武漢疾病予防抑制センター、米ハーバード大学メディカルスクールなど複数の科学研究機関が共同で執筆した。タイトルは「中国の非医薬品介入(NPIs)がCOVID-19感染症抑制に及ぼした影響」。同論文は「非医薬品介入による中国の防疫対策は効果があった」と強調している。
新たな突発的伝染病となった新型コロナウイルスには、有効な特効薬や既存のワクチンがない。同ウイルスは伝染力が高く、闇雲な抑制は医療資源に大きな負担をかける。そのため、非医薬品介入は公共衛生の基本的対応として、各国の主要な感染症抑制措置にもなっている。
非医薬品介入は、感染者の隔離、接触者の追跡、接触者の隔離、移動の制限、集会の禁止、手洗いの奨励などを行い、ウイルスの伝染と流行ピーク時の規模を抑えると共に、ワクチンと特効薬を開発するまでの猶予期間を作り出すことを目指すものだ。
同論文の研究者は、疫学と匿名の人間行動データを利用して枠組みモデルを構築した。同モデルの推測によると、非医薬品介入を行わなければ、2月29日時点で中国大陸の新型コロナウイルス感染者は11万4325人に上り、実際の67倍に増えていた可能性がある。