「海南自由貿易港建設全体案」(以下「全体案」)が1日、発表された。中国の指導者は海南自由貿易港の建設に関する重要指示の中で、「制度の統合イノベーションを目立つ位置に据え、高品質・高基準で自由貿易港を建設する」と強調した。
海南自由貿易港の建設は、国が海南省に優先的に与える発展のチャンスだ。自由貿易港は一国の経済開放の窓口及び手がかりで、ある地域・国・世界の経済・金融・貿易センターになりやすい。海南省は既存の自由貿易試験区を基礎とし、制度のイノベーションを続ける。中国の実情に合致し、かつ国際基準と連結する新制度・新規則を模索する。中国の開放型経済体制の構築に向け経験を蓄積し、中国が世界・地域経済貿易協力の新構造の構築を推進するための政策の準備をし、政策の統合効果を拡大する。
制度の統合イノベーションは今回の重要指示の重点だ。全体案によると、海南自由貿易港は法律体系、税関政策、税制、貿易及び投資の自由・円滑化政策、水上輸送政策、自然人流動政策、ビジネス環境改善政策、政府機関改革及び職能の変化、産業支援策、自然資源所有権制度計画、サイバーセキュリティ保障体系、データ出境安全管理制度、公衆衛生対策・治療体系、環境安全参入管理制度、社会ガバナンス体系、市場監督管理体制など各分野の制度のイノベーションを試みる。
管理学から見ると、統合は創造的な融合の過程だ。能動的な改善、選択・組み合わせを通じ、各種要素を相互間の最も合理的な構造・形式で一つに組み合わせる。相互補完しマッチする効果的な全体を形成する。それならば、制度の統合イノベーションは海南省が自由貿易港の建設において、上述した各種制度・政策について補完・改善・調整・融合を絶えず行うことを意味する。各種制度及び政策が世界最高基準と肩を並べ、かつ中国の特色ある社会主義の発展の実践の要求に合致しなければならない。自由貿易港所在地域の各種経済的要素と生産関係の特徴を整理し、国の安全の最低ラインを守った上で自由貿易の実現を最大化する全体案と制度の集合を見いだす。
制度のイノベーションには大きな挑戦が伴うが、自由貿易港はより高いレベルで資金・情報・ビジネス・モノ・人材の効率的かつ自由な流動の実現を促し、経済発展の大きな推進力を生む。
他にも無視できないのは、全面的な開放により市場のシステマティックリスクが拡大することだ。それと同時に人・資金・ビジネス・モノ・情報の高速かつ自由な流動は、市場の監督管理の難易度を桁違いに上げる。制度継承のイノベーションに取り組む際には、市場監督管理体制のイノベーションと改善についても考慮しなければならない。各分野の開放のステップを計画する際に、開放関連政策を打ち出すたびにどのようなリスクをもたらしうるか、市場で投機的行為が生じるかについて深く検討する。またその他の政策・手段との組み合わせ(法律、地方法規、情報化監督管理技術など)により、いかに投機的行為の禁止・追跡を行うべきかについて深く検討する。それにより制度体系の相互間の協力、最新技術の継続的な導入を通じ、海南自由貿易港の開放型経済の実験を保障する。こうすることで海南自由貿易港は最低ラインを守り、政策のイノベーションによるさまざまなシステマティックリスクを回避できる。(筆者・傅佳莎 中国人民大学長江経済ベルト研究院研究員)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2020年6月8日