南海(南シナ海)の西部海域にある中国初の深海自主開発大型ガス田「陵水17-2」でこのほど、ガス田の開発・建設にとって重要な一歩となる最初の開発井が完成した。9日、中国石油大手の中国海洋石油集団(CNOOC)への取材で分かった。
同ガス田の開発・坑井掘削・仕上げプロジェクトのマネージャーを務める劉和興氏は、今回、開発井が完成したことで、中国が自主管理する深海油田・ガス田の探査・開発に向けた一連の技術の実際の運用における効率と信頼性の高さが改めて確認されたと指摘。このことは、中国が海洋資源開発力と国家エネルギー安全保障を強化し、海洋強国戦略を支える上で重要な意義を持つと述べた。
同ガス田はユーラシアプレートと太平洋プレート、インド・オーストラリアプレートの3つのプレートが交わる海域にあり、掘削作業は複雑な地質構造や高温・高圧環境、超深海、台風などの極端な気象といった多くの課題にぶつかっている。今回、完成した最初の開発井は水深1200メートル以上の水平井であり、掘削深度は4200メートル近くに達する。
同ガス田の開発井は計11坑あり、7つの深海坑井エリアに分布、各エリアの地質状況、水文学的条件はそれぞれ異なる。中国海洋石油は、深海坑井エリアの実際の環境やガス田の開発コスト、技術的な実現可能性など多岐にわたる要因を総合的に勘案し、深海ガス田開発用にインテリジェント坑口装置(ウェルヘッド)をカスタマイズした。劉氏によると、これまでに同ガス田初となる水深3000メートル級のインテリジェント坑口装置が海底に設置され、ガス田の最初の開発井の完成に重要な役割を果たしたと述べた。
中国海洋石油は2014年に同ガス田を発見、天然ガスの確認埋蔵量は1000億立方メートル以上に上る。同ガス田は海南島から150キロ離れた沖合にあり、南シナ海の瓊東南(けいとうなん)堆積盆地の深海域にある陵水窪地に位置し、水深は約1500メートルに達する。同ガス田は2021年の操業開始を予定。10年間安定した生産が見込め、広東省や香港、海南省などに年間30億立方メートルのガスを安定供給でき、粤港澳大湾区(広東・香港・マカオベイエリア)の民生用ガスの4分の1を賄えるという。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2020年6月10日