中国と欧州を結ぶ国際定期貨物列車「中欧班列」のうち、浙江省の義烏市とスペインの首都マドリードを結ぶ「義新欧」の医療物資専用列車が29日、マドリードに到着し、新型コロナウイルス感染防止用のマスクや防護服などを現地に運び込んだ。感染症流行期に中欧班列は「一帯一路」の交通インフラとして医療物資や日用品輸送の一翼を担い、現地の経済活動の再開を支えている。
義新欧の現地運営会社のカルロス・サンタナ社長は、感染症流行期に中国から医療物資を輸入するには、鉄道が確実な輸送手段となっていると指摘。義新欧は船便より速く、航空便より安く、感染症の流行という特殊な事情がある中、中欧班列のような鉄道輸送の優位性が一層顕著になっている。ここ数年、心拍計付き腕時計やブルートゥース対応アクセサリー、家電、自動車部品に加え、今回の医療物資など、中国から付加価値の高い製品を輸入することが増えてきていると述べた。
呉海濤・駐スペイン中国大使は新華社の取材に対し、今回マドリードに到着した中欧班列は国際協力に向けた医療物資を輸送する専用列車であり、現地での感染防止対策を支援し、国際協力に取り組む上で重要な役割を担っていると述べた。新型コロナの発生以来、中欧班列は独自の強みを生かし、重要な物資や原材料を輸送するための簡便で迅速な輸送ルート「緑色通道(グリーンチャンネル)」を切り開くなど、逆境を乗り越えてきたと評価。一帯一路の交通インフラとして、中欧班列は安定した運行を維持し、感染症流行期には中国と欧州、一帯一路沿線国とをつなぐ重要な輸送手段となったほか、グローバルサプライチェーンの安定性を確保し、経済交流や貿易取引を維持する上で大きな役割を果たしてきたと述べた。
その上で、中国とスペインは感染防止に向け協力し合ったことで、両国間の相互信頼が一段と増し、経済・貿易分野における相互補完性と協力の可能性の大きさが一段と明らかになったと指摘。中欧班列は今後、両国間の経済・貿易協力を促進し、スペインにより多くの医療物資や生産資材を輸送し、現地の経済活動再開を支えるとの見方を示した。
スペインのシンクタンク、ガリシア国際関係研究所の所長で中国政策観察センターの主任を兼務するフリオ・リオス氏は取材に対し、
両国を結ぶ中欧班列は一帯一路イニシアチブの実施を強力に支え、感染症流行期における医療物資や日用品を輸送する重要な手段の一つになったと評価した。
スペインの経済学者ラモン・タマメス氏は新華社の取材に対し、感染拡大の影響でスペイン経済は甚大な損害を被ったが、今後、中国とEU(欧州連合)諸国との貿易がスペイン経済を活性化させ、景気回復を促進することに期待したいと述べた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2020年7月5日