危機をチャンスに転換し、発展への新たな余地を開拓することは、各地方政府にとって経済のファンダメンタルズ安定化のために必須の選択肢となりつつある。
2020年下半期に入り、多くの地方政府が「六穏(就業、金融、貿易、外資、投資、マインドの安定)」と「六保(就業、民生、市場主体、食料・エネルギーの安全、産業・サプライチェーンの安定の確保)」を強力に推進し奏功したことを踏まえ、質の高いモデル転換と発展へのロードマップを策定、「新インフラ」プロジェクトや全国的に影響力のあるイノベーションセンターの建設、新興工業団地の建設などを集中的に計画している。技術革新を旗印に、モデル転換プロジェクトを手がかりとし、経済発展の潜在力を充分に引き出すと同時に、質の高い発展に向け無限にエネルギーを注入している。
■数千億元クラスの「新インフラ」プロジェクトが集中的に発表
重慶市発展改革委員会は12日、「新インフラ」プロジェクトの準備を完了したと発表した。プロジェクトは7分野、21の特定項目、375件、総投資3983億元に上り、現時点で152件、2101億元が着工済みとなっている。
広州市は先般の記者会見で発表した「広州市デジタル新インフラ発展推進三年行動計画(2020—2022年)」で、デジタル新インフラ・プロジェクトライブラリを構築し、第1弾として254件のプロジェクトを登録したことを明らかにした。うち、5G分野(ビッグデータセンターを含む)は89件、AI分野は66件、産業インターネット分野は50件に上るという。常州市は1000億元超の新インフラ産業投資計画を提起し、63件の新インフラ重点産業プロジェクトを発表した。
「経済参考報」の情報によると、ここ1ヶ月のうちに、北京、成都、西安など複数の都市が新インフラ発展行動計画と投資建設計画を策定している。5G・AI・産業インターネットなどの重点分野をめぐり投資プロジェクトライブラリを整備、数千億元クラスのプロジェクトが集中的に発表される見通しだ。
集中的に発表される新インフラ・プロジェクトライブラリは、地方政府が産業構造の調整と見直しを推進し、経済の質の高いモデル転換を促すうえでの重要なポイントになっている。
■各地がイノベーションセンターと新興工業団地の配置を加速
イノベーションは質の高い発展を推進するための第1の原動力だ。技術革新を旗印に、多くの地方政府がイノベーションセンターの建設を急ピッチで進めている。
新産業の発展と新エネルギーの育成は、地方が質の高いモデル転換を果たすための活路となる。広東省は2022年までに生産額1千億元以上の産業団地20件以上の建設を目指す、河北省は2-3カ所のスマート産業パーク建設を推進する、湖北省は開発区による越境EC産業パーク建設を支援する――このところ、複数の地方政府が新興産業パークの建設を加速し、モデル転換プロジェクトの実施に向け広範なプラットフォームを提供している。
多くの地方政府が総合的な施策を講じ、質の高いモデル転換に弾みをつけようとしている。山西省は7月1日、「山西省のイノベーション主導による質の高い発展を推進する条例」を施行。8日の山西省政府全体会議では、重点分野のブレークスルーにより全面的なモデル転換を目指す方針が提起された。第1に、「両新一重」(新型インフラ、新型都市化、重大プロジェクト)の建設と民生の脆弱分野に注目し、質の高いモデル転換プロジェクトを計画する必要がある。第2に、新興産業の育成を加速し、14の戦略的新興産業クラスター建設に注力する必要がある。第3に、「創新創業」発展の新たなステップに踏み出し、製造業イノベーションセンターなどイノベーションプラットフォームの建設を強化する必要がある、と示された。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2020年7月19日