中国でここ数年、農村EC(電子商取引)の質向上と高度化が進み、ECによる農村振興が広がっている。中国商務部の統計によると、2020年の全国農村インターネット販売額は前年比8.9%増の1兆7900億元だった。農村地区がオンライン消費の新たな成長ポイントとなり、ECやライブコマースなどが農村に普及したことで農村特産物の販路も生み出した。ますます多くの農民がインターネットを使って手軽に商品を購入するだけでなく、気楽に販売もできるようになっている。
大娄山の奥深くに位置する重慶市南川区金仏山では、「方竹笋」という珍しいタケノコが秋に収穫される。方竹笋は収穫期が1カ月足らずで品質も変わりやすい。これまではコールドチェーン保存インフラが不足していたため、皮付きの新鮮なまま販売できたタケノコは10%に満たなかった。仕方なく農民は新鮮なタケノコの皮をむき、2日間かけて干しタケノコに加工する。ところが大変な思いをしても、干しタケノコの価格は新鮮なタケノコより30%も安くなる。
おいしい方竹笋を数多く売るため、アリババ系の生鮮スーパー「盒馬鮮生」は生産者側のパートナーと共にコールドチェーン輸送をベースとする液体窒素鮮度保持システムを現地に構築した。毎日早朝6時に農家が持ち込む新鮮なタケノコは加工センターへと送られる。分類および洗浄後にマイナス110度の液体窒素に入れられ、それからマイナス18度の冷凍庫で保存される。鮮度が保たれた方竹笋は空輸によって全国に売られ、「インターネットの人気商品」となった。
「オフシーズンとなる冬季の最高価格は1斤当たり30元と、秋季の3倍に達するだろう」。従事者によると、ニューリテールの恩恵で方竹笋の買い上げ価格は従来の3元から5元に上がり、タケノコ農家に平均1000元以上の増収をもたらしたという。