「動いたぞ!」台湾地区の長栄海運が運航する大型コンテナ船「エバーギブン」がエジプトのスエズ運河で座礁してから5日目、離礁作業が進んだ。現場の十数隻のタグボートの努力により、エバーギブンは現地時間27日に17メートル移動した。多くのタグボートが汽笛で喜びを表した。しかし運河の通行がいつスムーズになるかは不明だ。作業にかかる費用や貨物の遅延のコストなど、スエズ運河の「渋滞」による巨額の損失を誰が負担するのかという問題が、世界の注目の焦点になっている。「環球時報」が伝えた。
スエズ運河当局「今のところ賠償を請求しない」
ロイター通信が28日に報じた最新情報によると、スエズ運河庁のラビア長官は27日の記者会見で、「321隻が運河の通過を待っている。エジプト側はすでに多くの作業プランを策定している。現在14隻のタグボートが座礁したコンテナ船の各方向から離礁を試みているが、現時点では作業終了の見通しが立っていない。シーシー大統領は座礁したコンテナ船の積荷を減らす準備をするよう指示した」と述べた。
ラビア氏は賠償について、スエズ運河当局は事故調査の結果が出るまで賠償を求めないが、責任者に賠償を請求する権利を保留すると表明した。また、スエズ運河の毎日の経済的損失が1200-1400万ドルにのぼると強調した。「これは間違いなく我々にとって大きな損失で、それを隠す必要もない」ただしラビア氏は、悪天候が事故の主な原因ではなく、技術的もしくは人為的なミスによるものかもしれないと強調した。これは今後の賠償に向けた伏線と言える。現地メディアによると、当該船舶の責任であることが確認されれば、関連費用が賠償金に含まれる可能性がある。悪天候によるものならば、離礁作業にかかる費用などはスエズ運河管理部門が負担することになる。
ロイター通信によると、米海軍は27日に現場に評価チームを派遣し、世界で最も通行量の多い水路の早急な正常化に協力すると発表した。作業に参加しているロイヤル・ボスカリス・ウエストミンスターのベルドウスキCEOは「週末に陸上クレーンを導入し、貨物を下ろしエバーギブンの負担を軽減する」と表明した。
ロンドンの海運弁護士事務所の関係者は27日、「これは世界の末日のような光景だ。同船の離礁が成功すれば、サルベージ会社はさらなる賠償請求を出す」と述べた。ロイヤル・ボスカリス・ウエストミンスターは船舶及び貨物の価値に基づき引揚費用を請求する。費用は数千万ドルにのぼると見られる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2021年3月29日