第3社決済機関、深セン市訊連智付網絡有限公司の株主だった上海沃芮欧信息科技有限公司が出資を終了し、新規株主となった華為技術有限公司(ファーウェイ)の持株比率が100%となった。これはファーウェイが訊連智付の買収により、決済ライセンスを取得したことを意味する。2016年にファーウェイ消費者事業クラウドサービス部総裁だった蘇傑氏は、「当社は境界線の意識を守り、第3社決済ライセンスを申請しない」と述べていた。
ファーウェイが「前言撤回」してまで決済ライセンスを取得するのはなぜだろうか。小さな決済ライセンスはファーウェイに、どれほど大きな想像の余地をもたらすのだろうか。
ファーウェイが決済事業に探りを入れるのは今回が初めてではない。5年前には「Huawei Pay」で試していた。
2016年にはさまざまな「Pay」サービスが打ち出された。例えば当時注目を集めたApple Pay、Huawei Pay、Samsung Payなどは、いずれも携帯電話メーカーと協力し、携帯電話を担い手とする、NFC技術に基づく決済サービスだ。その機能は携帯電話に「仮想クレジットカード」を埋め込むようなものだった。しかしこのブームはすぐに過ぎ去り、QRコード決済の主導的な地位を脅かさなかった。
業界関係者は、「Pay」サービスは携帯電話メーカーと金融機関の協力に過ぎないが、今回のファーウェイについては「決済ライセンス取得は重要な手がかりだ。コンプライアンスを考えると、ファーウェイは確かに決済ライセンスを必要としている」(博通咨訊の王蓬博チーフアナリスト)としている。
金融監督管理部門は近年、金融は特免業界であり、経営にはライセンスが必要と度々強調している。決済事業は金融事業であり、そのため企業はこの事業をその他の決済機関に外部委託するか、関連事業の潜在的なコンプライアンスのリスクを回避するため自らライセンスを取得することになる。ファーウェイはライセンス取得後、外部機関への依存を断ち切ることができる。
王氏は「ファーウェイは以前データをめぐりその他の機関と提携していたが、これは最も重要なデータを他者に与えていたようなもので、さらなる掘り起こしにより価値を生むことができなかった。ライセンス取得後、ファーウェイは外部機関の制限を受けず、最初のデータを入手できる。金融面で、ファーウェイは決済事業を利用し関連する付加価値サービスを展開できる。それと同時にビッグデータの支えを利用し、小規模金融などその他の金融ライセンスを補ってから、サプライチェーンファイナンスなどの事業をさらに展開できる」と述べた。