国連貿易開発会議(UNCTAD)が先ごろ発表した「世界投資報告書」によると、2020年の海外直接投資(FDI)で中国が米国を抜いて世界最大の投資受入国になった。中国商務部によると、第1四半期(1~3月)の海外からの対中直接投資は前年同期比で39.9%増加、2019年比では24.8%増加した。
新型コロナウイルスの感染拡大が続き、世界経済の回復が遅れ、海外投資家のセンチメントが著しく悪化する中、海外からの投資はなぜ増加したのだろうか。理由として、少なくとも次の3点が考えられる。
1、短期的な要因として、中国が感染拡大阻止と経済活動の再開に向け断固たる措置を講じたことで、中国経済は他の主要経済国に先駆けて回復し、世界中の資金の「安全な避難先」となったためだ。
国際通貨基金(IMF)のゲオルギエバ専務理事は昨年10月の時点で、主要経済国が異なるコロナ対応をとったため、世界経済の成長に不均衡が生じる見通しだと指摘した。感染拡大の防止が経済の回復にとって重要であることは実践からも明らかだ。
中国は突如発生した新型コロナに対し、感染拡大を阻止するために断固たる措置をとり、防止対策に注力するとともに、操業や生産など経済活動を再開し、迅速に社会の安定に努めた。それだけでなく、貧困脱却の堅塁攻略(貧困撲滅)を成し遂げ、全面的な小康社会の実現も間近となる中、さらに「十四五(第14次5カ年計画、2021~25年)」と「2035年の長期目標」の要綱を策定した。こうしたことから、海外からの投資を呼び込む上で、中国市場の魅力度は極めて高いと言えよう。