中国共産党中央委員会と国務院はこのほど、「前海深港現代型サービス業協力区(以下「前海協力区」)における改革開放の全面的深化構想」(以下「前海構想」)を印刷・配布し、前海協力区の金融業の対外開放拡大を掲げた。香港の金融界関係者は関連政策に注目しており、前海協力区の金融分野における新たな強みを作り、香港の業界の新たな舞台を切り開くと見ている。
建銀国際(控股)有限公司の豊習来行政総裁は、「前海構想は一国二制度の枠組み内の先行試験が踏み出した重要な一歩だ。前海協力区の発展促進、香港の金融業発展の舞台の拡大、粤港澳大湾区の融合の加速に対して非常に積極的な意義がある」と述べた。
香港証券取引所の統計によると、昨年通年で144社が香港で新規株式公開を行った。資金調達額は3975億香港ドル超で世界2位となり、米ナスダックに次ぐ世界2位の資本市場になった。
豊氏は、世界の投資家と大陸部の企業を結ぶ「スーパー仲介者」である香港の重要な地位については言うまでもないと述べた。香港の成熟した金融ルール、監督管理制度、サービス経済を前海協力区に拡大することで、前海協力区及び大湾区全体の金融サービス業の水準を高める。これはパイの拡大に有利で、ウィンウィンを実現する。
香港の経済学者、シルクロード智谷研究院長の梁海明氏は、「前海協力区の金融分野の開放拡大は、大陸部と香港の金融の相互接続を促し、かつ香港の金融業のさらなる発展を後押しし、香港の国際金融センターとしての地位を固め、発展させる」と述べた。
梁氏によると、国による金融業対外開放の試験及び実証の窓口である前海はすでに、全国に先駆け越境人民元貸付、越境金融インフラなどの「6つの越境」の実現を促進している。
CEPA(大陸部と香港の経済貿易緊密化協定)枠組み内の金融業の香港・マカオへの開放措置も、前海協力区で全面的に導入されている。前海協力区は現在、金融の革新をさらに促し、金融開放を拡大している。これが香港金融業の大陸部での発展、両エリアの金融相互接続の掘り下げに向けより有利な条件を築くことは間違いない。
香港中華総商会の謝涌海副会長は、前海協力区の開放拡大は香港金融業に内陸部に向けての貴重な発展チャンスを提供したと見ている。前海協力区はすでに越境人民元貸付、本位貨幣及び外貨資金プール、双方向株式投資などの金融越境協力の試行を行っている。今回の前海構想は、国際保険会社の前海協力区での発展を支持するとしたが、これは香港の保険業にとっても新たな事業成長源だ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2021年9月10日