2021年、国際海上輸送費が高騰し、輸送できる船やコンテナが見つからないという事態が頻繁に発生した。これは、産業チェーンの川上に位置する造船業を活性化させた。中国の各大型造船工場への発注は激増し、江南造船や外高橋造船などの造船所はフル稼働しているが、出荷は2024年さらには2025年になる。

　中国船舶工業業界協会が先日公表したデータによると、2021年の中国の新規造船注文件数の増加幅は世界をポイント上回った。イギリスの造船・海上輸送分析機関のクラークソンの統計によると、今年1月の中国の受注件数は147万総トンで、世界の半数近くを占めた。

　中国は世界一の造船大国になったが、中国の造船業に「心配事がまったくない」というわけではない。

　全国政協委員・民建上海市委員会副主任委員、江南造船（集団）有限責任公司科技委員会主任の胡可一氏は、建造効率を見れば、中国の造船所は最も先進的な韓国と比べてまだ差があると話した。

　建造が難しい船舶は特にそうだという。LNG（液化天然ガス）船を例を挙げると、中国の造船所の生産能力や建造レベルなどは世界最先端レベルとまだ差がある。豪華客船を建造できる造船所も限られている。LNG船や超大型コンテナ船などの付加価値の高い船舶については、世界の多くの注文が韓国企業に持って行かれている。

　全人代代表で中国船舶集団有限公司傘下の大連船舶重工集団有限公司の劉征元会長も、中国の船舶工業は高い危機意識を持ち、古い殻に閉じこもって進歩を求めないのではなく、造船業の科学技術革新に目を向け、引き続き導入・消化・吸収を基礎に再革新能力を高め、コア技術、装備の研究開発、基礎研究作業の能力を引き上げ、窮地に陥るのを回避する必要があると考えている。

　胡可一氏によると、中国の大部分の造船所が「まずまずの状態」で、注文と生産能力は飽和しているが、「楽に金儲け」できるわけではない。大口商品価格の高騰により原材料価格が上昇し、造船所の利益余地に重圧がかかっている。注文が多すぎれば為替レートが大幅に変動し、造船所の利益が減る可能性もある。そのため、注文が多ければ多いほど良いのというわけではなく、複雑な選択だという。

　昨年、国際海上輸送費が高騰し、コンテナ船の需要が高まり、20年使用したコンテナ船が高額で売られた。胡可一氏は、造船所は多くのコンテナ船の注文を受けているが、コロナという特殊な状況によるもので、海上輸送の効率の回復に伴い、来年さらには今年下半期にもコンテナ船は過剰になる可能性があり、盲目的な生産能力と生産量の拡大に注意する必要があると話した。

「中国網日本語版（チャイナネット）」2022年3月10日