多くの国がサイバー空間への影響力を持とうとしているが、中国も例外ではない。中国は10年近く前、「サイバー強国」になるという目標を掲げた。この地位は少なくとも、米国と影響力を競おうとする中国の意志を示す。この野心はまた、中国が「サイバー大国」から「サイバー強国」になる方針を立てていることを意味する。米誌「ナショナル・インタレスト」が伝えた。
中国はネットワークの壮大な戦略と、その国家安定維持への中核的な力について隠し立てしたことがない。例えば「サイバーセキュリティがなければ国家安全はない」と強調している。米国家情報長官が昨年、中国を「ほぼ互角の競争者」と表現し、かつ一部の指数で中国が米国に次ぐサイバー大国となっていることもあり、現在の中国がすでにサイバー空間で影響力を急拡大していることは否定できない。
「サイバー強国」という概念には、サイバー防御、情報分野への影響、世界のネットワークの規範化、技術標準の影響力、技術の実力など多くの中身が含まれる。米国は現在もトップの地位を維持している。しかしグローバルガバナンスの展開、開発途上国との技術貿易を通じ、中国の世界の技術への影響力はサイバー強国という新しい地位を長期的に占める基礎を固めるかもしれない。烏鎮で開催された世界インターネット大会において、中国はグローバルガバナンス、特にサイバー分野のガバナンスに影響を及ぼす姿勢を明確に示した。
世界において、中国はサイバー能力をめぐり別の大規模投資を行っている。これはその構想に基づく、世界デジタル生態系の構築のことだ。中国と比べると、米政府の技術標準への影響方法はより放任主義的だ。国際標準システムへの影響は米政府の戦略的要務ではないらしい。これは過去十年に渡り、中国の候補者が多くの主要国際標準発展機関(国際標準化機構、国際電気標準会議、国際電気通信連合など)のトップを占めるための下地になった可能性がある。一部の機関において、米国がリーダーの地位を占めず、中国が日増しに主導権を握る現状がすでに顕著になっている。「デジタルシルクロード」も、サイバー強国になるという中国の野心実現を支える。中国はすでに各国と関連する建設協力了解覚書に署名している。「デジタルシルクロード」のサポートを受け、中国のテック企業は一部の不安定市場で徐々に基礎を固めている。
開発途上国における自国企業の不在はすでに、米国及びその同盟国にとって弱みとなっている。米国と欧州の政府が長期戦略を打ち立て技術のトップの地位を守ることはより困難であるが、これに取り組まなければ意図せず中国に唯一の「サイバー超大国」になる扉を開くことになりかねない。(筆者は、ハーバード大学ベルファー科学国際問題センターのネットワーク研究員)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2022年3月22日