この時期、スーパーに足を踏み入れると、ピンク色の桜や甘酸っぱいベリー類をメインにした食品やドリンクといった「春の季節限定」が「舌で味わう春」のセンターを占めている。
春の商品棚はどこもかしこも桜
3月の初め、満開シーズンに先立ち、桜はまずコーヒーカップの中でその花を咲かせた。桜マキアートに桜フレーバーラテ、春の桜ティーなど、カフェブランドのスターバックスや瑞幸珈琲(ラッキンコーヒー)、奈雪の茶などが、桜を取り入れた新商品を次々に発売した。
こうしたドリンク以上に、食品分野ではより多くの商品が発売されている。ポテトチップスブランドのレイズは春限定フレイバーを発売し、菓子メーカーのグリコはお茶風味や和風のポッキーを発売している。中国の伝統的な春のお菓子である「青団」(清明節<先祖を祭る中国の伝統的な祭日、今年は4月5日>に江南地方で食べられるもち菓子)や「米醸」(もち米に麹を加えて発酵させた飲み物)にも桜や桃などがたくさん使われている。それだけでなく、スパイシーな鴨ネックで有名な周黒鴨も、ネットユーザーから「新しい味を開発できないなら無理に新商品を出さなくていい」とツッコまれながらも、「桜風味砂糖がけ鴨ネック」を売り出した。
各ブランドは味だけでなくパッケージにも「春の装い」を意識しており、桜と白桃、抹茶などのフレーバーだけでなく、フレッシュで可愛らしい春仕様のパッケージにすることで、ブランドの春モデルを打ち出している。
見た目だけで美味しくない「美しい役立たず」?
しかし桜の見た目の美しさとは裏腹に、その味は「美しい役立たず」と言われてしまうほど評価は低い。
SNSで桜フレーバーのお菓子に対する評価を見てみると、「桜ならではのフレッシュな味わい」と評価する人もいるが、「酸味も甘みもうっすらといった感じで、桜の味というのはほぼほぼ想像力頼り」、「味は見た目ほどよくない」といった低評価の方が多い。
資料によると、中国では桜は庭園や医薬品、スキンケアに使用されることが多い。中国農業大学食品科学・栄養工程学院の朱毅准教授の説明によると、桜は中医薬の伝統的な原料の一つで、食物の性質としては「平」または「涼」に属し、肺の機能を高め熱を冷ましたり、咳を止め、呼吸困難を改善したり、腸内の水分不足の改善やアルコールの酔い覚ましに用いられるなどの効能がある。ただ、体が冷えている人が摂取すると下痢や嘔吐などの症状を起こしやすいという。
ここ数年、人気が高い桜フレーバーだが、実は食品業界では桜はまだまだ「新入り」なのだ。