中国のサプライチェーンを悲観 古い説を唱える海外

中国網日本語版  |  2022-04-29

中国のサプライチェーンを悲観 古い説を唱える海外。世界的なサプライチェーンの東への移動において、中国のサプライチェーンの地位がより堅固になり、この説が自壊した。今や中国国内で感染拡大が散発すると、海外はまた古い説を唱え始めた…

タグ:サプライチェーン 感染拡大 輸出

発信時間:2022-04-29 10:54:04 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

文=彭念海 南師範大学SAARC諸国研究センター執行主任


 中国国内で最近、新型コロナウイルスの感染状況が深刻になっており、一部の外資系工場が一時的に操業停止になっている。それと同時に、中国と隣接するベトナムとインドの経済が持続的に回復し、輸出が大幅に伸びている。海外の一部のアナリストはこれに基づき、感染症が中国の国際的なサプライチェーンの地位に大きな衝撃を及ぼしており、東南アジア諸国が追い上げ中国の代わりになると見ている。


 これはどこかで見たような説だ。2年前の感染症の流行当初にも、同じような中国経済を悲観する声があった。中国の輸出が急減し、中国が国際的なサプライチェーンの地位を保てないというのだ。しかし実際には、中国経済は短期的な停滞の後に真っ先に回復した。世界的なサプライチェーンの東への移動において、中国のサプライチェーンの地位がより堅固になり、この説が自壊した。今や中国国内で感染拡大が散発すると、海外はまた古い説を唱え始めた。


 まず、次のデータを見ていこう。中国税関総署のデータによると、中国の今年第1四半期の物品貿易の輸出額は13.5%増だった。貿易品目別に見ると、サプライチェーンの中心にある機械・電力製品の輸出が高い伸び率を維持し、今年第1四半期は9.8%増となった。中国の輸出は大幅な増加の流れを呈しており、機械・電力製品が高い競争力を持っている。さらに同期のベトナムとインドの貿易データを見ていこう。ベトナム産業貿易省のデータによると、ベトナムの今年第1四半期の輸出額は12.9%増だった。インド産業貿易省のデータによると、2021−22年度(2021年4月から2022年3月)のインドの輸出額は43.2%増だった。データを見ると、インドの輸出の伸び率が最高で、中国がそれに続き、ベトナムがやや低めとなっている。これはインド経済の回復が順調であり、両国が世界の産業シフトの受け入れの面で積極的な成果を手にしたことを裏付けている。


 しかしながら中国の国際的なサプライチェーンにおける地位について、東南アジア諸国が短期間内にその代替を果たすことは難しい。まず、輸出額と機械・電力製品の輸出額を見ると、ベトナムとインドは中国とは桁違いだ。中国の今年第1四半期の物品貿易輸出額は5兆2300億元、2021年通年は21兆7300億元だった。ベトナムの同期は891億ドルと3363億ドルで、インドの2021−11年度は4180億ドル。中国の同期の機械・電力製品輸出額は3兆500億元と12兆8300億元で、ベトナムは2021年通年で575億4000万ドル(コンピュータ及び携帯電話部品)、インドは161億ドル(電子製品)のみだった。当然ながらベトナムとインドの輸出(特に機械・電力製品)が今後急増する流れを考慮すると、中国の輸出に対して競争を形成することになる。


 次に、東南アジア諸国のサプライチェーンには不備がある。対外依存度が高く、強靭性と弾性が低い。国際標準産業分類及び「産業発展報告2016」によると、中国は世界で唯一のすべての産業分類を持つ国だ(41大類、207中類、666小類)。世界の500種超の主要産業製品のうち、中国は220種超の生産量で世界一となっている。これは中国のサプライチェーンの強靭性を大幅に強化した。フォックスコンは上海の感染状況について、昆山の子会社が一時的に操業を停止しているが、生産はすでに予備の工場で行われていると発表した。その一方で東南アジア諸国は現在も整った産業分類を構築しておらず、サプライチェーンの川上・川下産業の整備にばらつきがある。そのため、そのサプライチェーンは外部に強く依存しており、安定性が低い。例えば感染拡大中、サムスンのベトナム工場は外部のサプライチェーンが断裂した際に自ら生産を行えなくなった。大半の原材料と半製品を輸入に依存しているからだ。


 さらに、ベトナムやインドなどの国は産業チェーンの中流・川下に位置し、原材料の荒加工、委託加工、OEMを中心としている。ベトナムとインドの輸出の伸び率が近年高くなっているが、両国の輸出品のうち資源類と農産物が大きな割合を占めており、工業完成品の割合が低めだ。つまりベトナムやインドなどの国にシフトしている産業では、ハイエンド産業クラスターを形成できず、世界市場に高品質の供給を提供できないということだ。そのため東南アジア諸国は産業の高度化を実現しなければ、国際的なサプライチェーンにおける地位を実質的に高めることができない。これは容易なことではない。


 それからもう一つだが、ベトナムやインドなどの国のビジネス環境には改善が必要だ。これらの国のインフラ整備、制度・規範・管理などのハード・ソフト面の遅れが余りにも深刻で、外国企業の大規模な進出の妨げになっている。多くの外国企業が近年、東南アジア諸国で「カルチャーショック」に苦しんでいる。これは、外資導入により大規模な産業クラスターをスムーズに構築するという構想の大きな妨げになっている。


 国際的なサプライチェーンの再構築は現在進行系で、国家間の産業シフトは正常な現象だ。しかし産業シフトと整ったサプライチェーンの構築の間には長い距離がある。合理的な政策、潤沢な資金、先進的な技術、時期の到来などが必須条件だ。それに中国は感染対策の徹底を前提とし、サプライチェーンの安定に全力を尽くし、感染症による損失を取り戻すはずだ。


「中国網日本語版(チャイナネット)」2022年4月29日

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