米国が中国にけしかける技術覇権争いの動きが激化している。米金融情報サービス大手のブルームバーグはこのほど、米国政府がオランダの半導体製造装置大手ASMLホールディングに対し、主要装置を中国に販売するのを禁止することをオランダ政府に働き掛けていると報じた。さらに、旧式の深紫外線(DUV)露光装置の販売も規制する用意があるという。
同社はすでに最先端の極端紫外線(EUV)露光装置も輸出を止められている状況にあるが、米国はさらに旧式のDUV露光装置にまで規制をかける構えだ。米国はASMLに圧力をかけるだけでなく、同類の製品を製造できるニコンに対しても輸出規制を呼び掛けるなど、中国のチップ産業を死地に追いやると宣言しているようだ。
だが、米国政府がいくら小手先の目論みを立てようとも、短期的な利益はともかく、長期的には世界的な「脱米国化」につながりかねないことは目に見えており、米国にとって一文の得にもならないであろう。
昨年3月、ドイツ、フィンランド、イタリア、スペイン、ギリシャ、オーストリアなど17カ国が「欧州のプロセッサと半導体技術計画に関する共同声明」に署名した。今後2〜3年間に1450億ユーロを投資する計画で、2nm(ナノメートル)プロセスに重点を置き、この分野での独自開発を目指す方針だ。
ドイツのメディアはこれ以前にも、同国の半導体大手インフィニオン・テクノロジーズが米国以外の半導体企業に「脱米国化」を働きかけ、中国チップ市場での基盤強化に向けるもようだと報じた。フランスの複合企業体グループ・ダッソーも、今後ソフトウェア事業を順次「脱米国化」させ、アジアの顧客向けにサービス提供を確保していく考えを明らかにしている。