ロンドン北西部のスーパー「テスコ」の棚には、トマトの購入は1人3個までとの購入制限が示されている。多くのスーパーはトマトの他にも、キュウリ、レタス、ピーマンなどの野菜の購入制限をかけている。あるスーパーの果物・野菜購入制限は8種にのぼる。
ある英国のネットユーザーがSNSに投稿した記録によると、2月末に25ポンド(約4000円)で1袋・6個のトマトを購入したことが分かる。英国の別のネットユーザーは、「最後の1個のトマトを見ながら、これを食べようか家賃を返すため売ろうか迷っている」と皮肉った。
英カンター社の調査結果によると、住民生活に最も大きな衝撃を及ぼしているのはエネルギー価格で、これに食品価格が続く。2月には英国の約25%の世帯が経済的な問題に直面した。
ところが英政府の食料問題当局者はこの問題に冷ややかな態度を示している。テレーズ・コフィー英環境・食糧・農村地域担当大臣は英下院での質問に対して、「物価が高すぎ耐えられなければ、できるだけ長時間働くか、技能を高めるか、高給の職を探すべきだ」と述べた。コフィー氏は、英国の食品供給チェーンは「安定しており柔軟性が高い」との見方を崩しておらず、果物・野菜不足は原産地の自然災害による一時的なものとした。
エネルギー価格、特に電気料金の急騰により、英国の多くの農家は野菜と果物の温室での栽培を断念せざるを得なくなっている。英国国内で生産される農産物が減り、輸入への依存を強いられている。データによると、英国は冬にトマトの約95%、レタスの約90%を輸入に依存する必要があり、その大半がスペイン及び北アフリカからの輸入だ。
英国の農業専門家は、英政府が自国の農産物の生産に大規模な補助を行い、物価を早急に下げ、EU離脱がサプライチェーンにもたらす悪影響を減らさなければ、農産物の不足という問題が今後も続くとの見方を示した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2023年3月6日