イラン国営テレビは4日、イラン産業鉱山貿易省の当局者が「イランのハマダーン(西部山間部)で初めてリチウム鉱山が見つかった」と述べたと伝えた。リチウムは各種設備及びEV(電気自動車)バッテリーの生産に用いられる重要元素だ。
イラン産業鉱山貿易省によると、この鉱山のリチウム埋蔵量は850万トンにのぼる。急成長するEV産業において、リチウムは「白い金」と呼ばれる。米国地質調査所によると、イランが発表した数字が正確であれば、同鉱山のリチウム埋蔵量はチリ(920万トン)の鉱山に次ぐ世界2位となる。
EV部品の需要増、世界のサプライチェーンの問題及び物価高により、リチウム価格が昨年急騰したが、最近やや低下した。EV販売台数の減少、一部の国の商業活動のペースダウンを背景に価格調整が行われた。
イランでリチウム鉱山が発見されたという情報が本当であれば、経済に苦しむ同国にとって新たな生命線となる。
海外から厳しい制裁を数年受け、かつ自国通貨のレートが持続的に低下(2月末にタイ米ドルレートが過去最低に)する中、イランはこの貴重な資源の輸出で大きな利益を手にすることができる(制裁により貿易パートナーの数が限定的ではあるが)。
世界のリチウム市場にとって、確認埋蔵量の増加はリチウム価格をさらに引き下げるが、これはイランの輸出能力に左右される。
イランは世界最大の石油・天然ガス生産国の一つだが、制裁により大規模な輸出が出来ず、収入と外貨を増やし世界に供給する能力を拡大することに支障が出ている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2023年3月9日