中国海洋石油集団有限公司(中国海油)とトタルエナジーズはこのほど、初の液化天然ガス(LNG)越境人民元建て決済取引を完了した。ブラジル中央銀行は、人民元がユーロを抜き同国にとって第2の準備通貨になったと発表した。前者は油ガス貿易分野の越境人民元建て決済取引の実質的な一歩を象徴し、後者は準備通貨として人民元がより注目されるようになったことを意味する。現在の国際通貨システムにおいて、人民元の影響力が日増しに高まり、通貨の多極化の流れが日増しに顕著になっている。
人民元は現在、国際決済の第5の通貨、第5の国際準備通貨であり、国際通貨基金(IMF)の「特別引出権(SDR)」の構成比で3位の準備通貨となっている。人民元国際化の十数年の歩みにおいて、人民元の越境決済、投融資、貯蓄、価格計算などの国際通貨としての機能が全面的に強化され、国際的な地位も大幅に上がった。
データによると、中国の越境人民元建て決済額は昨年42兆元を超え、2017年より3倍超増加した。中国人民銀行は29の国・地域で31の人民元建て清算銀行を指定し、40の国・地域の中央銀行もしくは金融当局と総額4兆元超の二国間スワップ協定を結んでいる。人民元国際化の水準が持続的に向上しているが、これは米ドルへの過度な依存から脱却しようとする各国の需要と合致する。
米国は近年ドルの覇権を乱用し、世界経済のリスクを激化させた。米連邦準備制度理事会(FRB)が昨年より過激な利上げを続け、ドル相場が急激に上がっている。多くの国で自国通貨安、資本の外部流出、債務返済コストの高騰、輸入インフレの激化が生じ、一部の国はさらに金融もしくは債務の危機に陥っている。「BRICS」という概念を掲げたゴールドマン・サックスの元エコノミストであるジム・オニール氏はこのほど文書の中で、「米ドルの国際金融における覇権はやりすぎだ。新興市場は米ドルのリスクを減らすべきだ」と指摘した。
ウクライナ危機のエスカレート後、米国は米ドル及び米ドル決済システムを武器として利用し、ロシアの数千億ドルの外貨準備を凍結し、ロシアの一部の銀行を国際銀行間通信協会(SWIFT)の情報システムから排除した。これは国際金融システムの安定性と信頼性に影を落とした。米国の金融制裁は市場の信頼の原則を大きく破壊し、全世界の米ドルに対する信頼の危機を生んだ。
ウクライナ危機による西側の対露制裁から1年後、人民元は米ドルに代わりロシアの取引規模が最大の通貨になった。産油大国のサウジアラビアは、ドル建て以外の貿易に開放的な態度を示した。ブラジルとアルゼンチンは南米共通通貨の創設に関する議論を進めている。ASEAN財務大臣・中央銀行総裁会議は、同地域での現地通貨の使用の強化を議論した。イスラエルは初めてカナダドル、豪ドル、円、人民元を外貨準備に加え、米ドルを減らした。
時間の経過に伴い、米ドル以外の多くの通貨が国際通貨システムの表舞台に立つチャンスを手にするだろう。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2023年4月6日