世界貿易機関(WTO)による最新の「貿易統計・見通し」によると、昨秋より世界経済成長への期待がやや高まっているが、国際貿易の成長は依然として低迷を維持している。ロシアとウクライナの衝突、高止まりする物価、金融引締、金融市場の不確実性などの悪影響を受け、今年の世界の貿易量の伸び率は1.7%に低下する見込みだが、2024年には3.2%にのぼるという。
「見通し」によると、今年の世界の貿易量の伸び率に関する予想値が引き下げられた主な理由は、昨年第4四半期の世界貿易の大幅減だ。これには大口商品の価格高騰という理由がある。また各国の持続的な金融引締も貿易回復の妨げになっている。
しかし今年の貿易量の伸び率の1.7%という予想値は、昨年10月の1.0%を上回っている。
「見通し」によると、中国の感染対策最適化が重要な要素で、この措置が消費の需要を引き出し国際貿易を促進するとした。また欧州のGDP成長率の予想値も0.7ポイント引き上げられた。経済成長はEU内の貿易を刺激する。欧州の輸出量は今年1.8%増加し、従来の0.8%の予想値を上回る見込みだ。
「見通し」は、最大の出境消費国である中国が今年、地域及び世界の観光を力強くけん引すると予想した。
WTOのチーフエコノミストであるラルフ・オサ氏は、「新型コロナウイルスの長期的な影響、激化する地政学的な緊張情勢は、昨年の貿易及び産出に影響を及ぼした主な要素で、今年も影響を受ける可能性がある。先進経済体の持続的な利上げも銀行システムの脆弱性を高める。制御しなければより広範な金融不安定を招き得る。政府と監督管理機関は今後数カ月に渡り、金融リスクへの警戒を保つ必要がある」と述べた。
「見通し」は2024年を展望し、世界のGDP成長率が2.6%に、貿易の伸び率が3.2%に回復すると予想した。しかし地政学的な緊張情勢、食糧供給の衝撃、金融引締が予測不可能な影響を及ぼす可能性があるため、この予想値は正常な状況下と比べ不確実性が高い。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2023年4月7日