海産物というと沿岸部の特産品と思う人も多いだろう。ところが最近、内陸部に位置し「海から最も遠い場所」と呼ばれる新疆ウイグル自治区が、海産物の大豊作を迎えた。
内陸部には海がないのに、どうやって海産物を養殖するのかと疑問を持つ人が多い。その答えは「海産物陸上養殖」モデルというキーワードにある。
「海産物陸上養殖」モデルとは?
「海産物陸上養殖」モデルとは、陸上で海洋に似た生態環境を構築し魚介類を養殖することを指す。海洋に似た生態環境の構築にはさまざまな方法がある。
(一)「海エビ淡水養殖」方法の採用
新疆ウイグル自治区アクス市のバナメイエビ養殖場は、バナメイエビの豊作シーズンを迎えた。
養殖場の責任者である周京森氏によると、養殖場の2つの池の敷地面積は16ムーで、天山の雪解け水が使われている。稚エビは海南省から導入。養殖方法は「海エビ淡水養殖」。
「海エビ淡水養殖」とは、海エビを淡水で養殖することを指す。技術上の最大の難点は、海エビを新疆の淡水環境に適応させることだ。
周氏は次の3ステップを紹介した。
1歩目で重要になるのは淡水化池だ。これは単独の池で、その水を海水に近い水環境に調節する必要がある。稚エビの導入後、まずこの池の中で養殖を行う。
2歩目は注水淡水化だ。稚エビを池に導入した翌日より、新疆アクス現地の淡水を毎日同じ時間に一定量注入する。池の塩分量を徐々に下げ、稚エビを現地の環境に適応させる。
3歩目は池の変更だ。7-10日に渡り毎日淡水を加え、淡水化池の水環境を大型池の水環境に近づけた後、稚エビを大型池に移し養殖を行うことができる。
周氏は、「バナメイエビは通常、25度前後の水温に適応する。18度を下回ればその成長に適さない。淡水化が終わり稚エビが大型池に入った後、池の水温、溶存酸素濃度、pH値、アンモニア性窒素、亜硝酸塩の水環境を毎日観測する。今年の1ムー当たり生産量は400キログラムにのぼる見込みだ」と述べた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2023年9月11日