ロイター通信は10月6日、「米債券利回り上昇で世界経済のソフトランディング(軟着陸)に影」と題する次の記事を掲載した。
米債券利回りの上昇は世界的な借り入れコストの押し上げにつながっており、重大な危機を引き起こすことなくインフレ圧力を緩和したいと考える経済政策立案者にとって新たなリスクとなっている。
利回りの急上昇が米政府の多額の財政赤字によるものであろうと、米議会が機能不全に陥ったことによるものであろうと、その背後にある理由は世界の金融システムに及ぼす影響に比べさほど重要ではない。これよりも前の段階では、世界の金融システムは新型コロナ終息後の高インフレの時代が終わり、ソフトランディングすると予想されていた。
物価上昇を受け、各国中央銀行はいち早く利上げに踏み切った。各国の当局者らは、金融引き締め期間を通じて世界の金融環境が概ね安定的に調整されたことを歓迎しており、多くの国で金融・財政運営の水準が若干向上したことの表れだと捉えている。
一方、ゴールドマン・サックスのエコノミストらは「強じん性のある夏場」を経て、米国債利回りの上昇が新興国債の売り圧力を強めており、「亀裂」が生じつつあると見ている。
過去3カ月で米長期国債利回りは約1%上昇したが、この間に米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げ幅はわずか0.25%にとどまった。
米資産運用会社コロンビア・スレッドニードル・インベストメンツの債券世界責任者ジーン・タヌッツォ氏は「こうした変化のスピードは持続可能なものではない」と指摘。今後もこの方向で続くなら、(影響を和らげるために)FRBが行動をとる必要があるだろうと述べた。
金融市場の急激な変動は不安定化を招く恐れがある。米ハーバード大学のカレン・ダイナン教授は、ピーターソン国際経済研究所で先ごろ講演し「米国債利回りの上昇は、他国の予算制約を引き起こしたり、最終的に他国の予算危機につながったりする恐れがある。FRBはこの問題に注意を払うべきだ。こうした危機は他の金融市場の他の部分にも波及し、米国経済に真の脅威をもたらしかねない」と語った。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2023年10月29日