内蒙古(内モンゴル)自治区の満州里市にある中国とロシアの国境を越えた貿易・物流の複合施設の倉庫では、青果の輸出入を手掛ける満州里金凱泰果蔬貿易の作業員らが、河北省から仕入れた特産のチュウゴクナシの荷積み作業に追われていた。合計約120トンを積んだトラック6台はほどなく満州里を出発し、約10日かけてモスクワに向かう。
同社の韓玉格董事長によると、代金は約15日後にモスクワのバイヤーから人民元で支払われるという。「20年間ロシアと取り引きしているが、人民元での受け取りしかしない。元は強いからね」。韓氏は環球時報の取材に対し、ロシア側との契約は全て人民元建て決済することで合意していると語った。現在では、ロシアの取引先から年間約7千万から8千万元の代金を受け取っているという。
この2年ほどで、世界的に脱ドル化と人民元建て決済の拡大という流れが急速に進んでいる。中国とロシアはいずれも世界の主要経済国であり、互いに重要な貿易相手でもあり、両国間の人民元建て決済をめぐる協力は年々深まっている。
統計によると、今年1~10月の中ロ貿易額は1964億ドルを上回り、通年目標である2千億ドルの大台乗せも目前に迫っている。ロシアの通信社スプートニクは先月25日、同国のミシュスチン首相が中国との経済貿易協力は年々深まっており、両国間のクロスボーダー決済の90%以上が人民元建てで行われていることを明らかにしたと伝えた。
中ロ貿易では人民元建て決済が広く受け入れられている。同じく満州里市にある農産物輸出入大手の阿爾泰国際糧油実業によると、昨年、ロシアから輸入した菜種や亜麻仁、大麦、大豆などの農産物は約25万5千トンに上った。同社責任者の張海竜氏は10日、環球時報の取材に対し、ロシアからの買い付けは全て人民元で決済していると答えた。
前出の満州里金凱泰果蔬貿易の韓氏は、人民元の魅力は中国の経済力と国際的な信用力にあると指摘。中国経済は長期にわたって安定した発展を維持してきた上、世界最大の輸出国でもあり、世界140以上の国・地域の主要貿易相手国にもなっている。これが人民元の国際化を進める上で基盤となり、中ロ間の貿易決済に占める人民元の割合が年々増加している主な理由にもなっていると語った。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2023年11月19日