米政府は現地時間1日に電気自動車(EV)補助に関する新たな規定を発表した。この規定はインフレ削減法に基づき、最大7500ドルの税額控除対象となるEVの要件について詳細に説明した。新規定が取り上げた「懸念される海外企業」(FEOC)は、中国を念頭に置くものとされている。
米財務省が発表した情報によると、2024年より減免要件を満たす新エネ車には、FEOCが製造もしくは組み立てる電池モジュールが含ま
米AP通信の2日の報道によると、米国はFEOCを「朝鮮、中国、ロシア、イランが保有・支配・管轄するすべての企業」と定義するが、主な標的が中国であることは明らかだ。中国は長期的に世界のEVバッテリーに使用されるリチウムや黒鉛などの重要鉱産物の生産及び加工を主導してきた。全米鉱業協会の広報担当のバーンスタイン氏は新規定に「歓迎」を示し、「これは中国のEVサプライチェーンにおける主導的地位を解消する重要な一歩」と述べた。
仏AFP通信によると、上院エネルギー・自然資源委員会のマンチン委員長は新規定の発表前に、財務省が最も厳しい基準を採用するよう働きかけていた。マンチン氏は電池モジュールの中国での生産もしくは組み立てに反対という内容を盛り込んだ中心人物だ。反中発言を繰り返す米上院のルビオ議員(共和党)はこのほど、米国の各分野のインフラに中国製のバッテリーが増えていることに反対すると述べた。
米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」は、バイデン政権は米国のEV業界の脱中国に取り組んでいるが、米企業と中国の提携先との協力に余地を残しているようだと見ている。バッテリー原材料の調達先から中国を極力排除するが、新規定は技術ライセンスなど中国企業とのその他の協力を認めている。この決定はすでに中国トップのバッテリーメーカーと関係を構築している自動車メーカーを安心させる可能性があるという。
米CBSの報道によると、フォードは新型EVにバッテリーを供給する工場をミシガン州で建設することを検討している。フォードによると、その提携先である中国のバッテリー製造メーカーの寧徳時代が技術と、一部の設備及び従業員を提供する。米政府当局者はフォード製のバッテリーが税額控除対象となるかについてはコメントを控えた。「ウォール・ストリート・ジャーナル」によると、フォードはこの数カ月に渡りその中国企業とのリチウムバッテリーの生産に関する技術提携にゴーサインを出すようホワイトハウスに働きかけており、この決定はフォードに重大な影響を及ぼすと称している。米財務省も、バッテリー原材料の規制措置は段階別で実施されると発表した。
「綱渡り中のバイデン政権」